えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

口ずさむ音楽

口ずさむような音楽なんだ、と思った。それからじわじわ、ああそうだ、そうだな、と思って愛おしくなって、そんなことをずっと考えている。

 


そういえば、岡崎体育さんに興味をもつきっかけの半分はSNSの話題である。
今回の次回ツアーチケットが分譲マンションのような売れ方をしている!からふと、「おっさん」の話題を目にした時のことを思い出した。
確認するとアルバムリリースは2021年。
あの頃、そのMVに興味を持ち、検索して歌詞に「アアア〜」と叫んでから3年が経っているらしい。シンプルにすごい。
素朴な歌詞と、口にしたくなるようなリズム。そういう魅力とともに、ついつい歌詞を読みたくなような言葉たち。
おっさんのダメなところ、でもさ、と言いたくなるところ、そこからの背中を押すような言葉たちが、そうだ、私は大好きだった。

 

次に興味を持ったのはMIU404でのゲスト出演。その怪演っぷりと放送後のご家族からの感想についてのツイートもいま思えば「ネットでの話題」で残った印象だった。

 


そうして、2022年のCreepy Nutsとのツーマンでのライブイベント。その配信で「岡崎体育(さん)めちゃくちゃライブうめえな?!」と衝撃を覚えたのだ。
私は、音楽が好みかどうかはもちろんだけど、ライブパフォーマンスに惹かれるかどうか、がかなり重要である。

 

そういう意味で、パンゲームのほか、R-指定さんとの一方的な(いろんな意味で)MCバトルなど、それはもう「あらゆる手を使って」盛り上げようとする岡崎体育さんに惹かれないという方が無理な話だった。どう考えても好きである。

 


それがきっかけで曲をいくつかダウンロードした。その中にエクレアがあった。それと前後して、岡崎体育さんが同じく大好きなフラワーカンパニーズさんの「深夜高速」をカバーしてることを知った。大好きで大切な曲を歌うその歌声を聴いたあと、エクレアを聴いて、ああ、この人の表現がいちいち、刺さるわけだなあと実感した。

 


岡崎体育さんを嫌いになるやつとかおらんやろ、おるとしたらちょっとすかしとるだけやろ、と思っているけど、本格的に今回、ワクワクしながら新曲EPを聴いて思う。

 


例えば、毎日を過ごしてる中で口ずさむ鼻歌みたいな
どこかで聞いたような、だけどどこにもない、自分だけのメロディ。
頭の中、ぐるぐる反芻して浮かんでは消えて止まらないお喋りや考え事みたいな、そんな音楽。

 

リード曲の失恋ソングのインパクトはもちろんのこと特に私に刺さったのは「宇宙と長野」だった。
歌詞を読みながら、読まずとも噛み締めながら聞いていると、結構無茶苦茶である。無茶苦茶なんだけど、どこか分かるような、知ってるような音楽なのである。
そうしてなんでか無性にニヤニヤしてしまう。
それは言葉選びもそうだし、例えば歌い出して戸惑うように録音が揺れることも。
そういう全部が「ああ知ってる」で「大好き」だった。そうだ、わかる、そう、この感じ。

 


わりと無茶苦茶な歌詞なのに、歌詞だからこそ、ああうん、分かるよ、と思う。おかしいんだけど、ただ笑わせようとしてるわけじゃなくて。
休みの日のだらだらしすぎてぼんやり薄暗くなったリビングとか。学校帰りの、なんとも言えない昼下がりの影とか。そういうことを思い出すような、そんな音楽を私はここ数日聞いて、そのたんびにちょっと足取りが軽くなる。
つい吹き出してしまうようなおかしさは優しさとほんの少しの照れ隠しのような気もする。
そうして私は、そんな音楽が、大好きなのだ。


例えば、休みの日に家事をしながらノリで口ずさみながら紡ぐ音楽。
例えば、酔った帰りに無茶苦茶に踊ったりする、そういうどこか優しくておかしくて不思議な距離感の、そんな音楽たち。

 


そういう日常のなかある「ちょっと楽しい」の音楽が、岡崎体育さんの音楽なのかもしれない。
私もそんな音楽に生で触れてみたくて、話題のツアーチケットをとった。ライブで、しかも生だとまた違った景色が見えるかもしれない。それもまた、私は楽しみだ。

 


何より、絶対にこの人の音楽に生で触れたら口ずさむような心地よさを楽しめるに違いない。そう、確信して私はライブの日を心待ちにしている。