えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

"梅田サイファー と chelmico" at 心斎橋JANUS

楽しいな、と思うと同時に「ああそういや最近こういう感じ、なかったな」と気付いた。

 

 

 


"梅田サイファー と chelmico" at 心斎橋JANUSに行ってきた。

 

 

少し前から無性に「クラブで音楽聴きたいなあ」とぼんやり思っていた。頭を空っぽにする時間がいるのではと自分でも思ってたし周りにもちょっと考えない時間作った方がいいよ、と言われ、それな〜と心底思っていた。そしてそれってクラブないか、あの感覚なんだよな、なんて考えていた、そんな土曜夕方。

 

 

 

初めて足を踏み入れた心斎橋JANUSはミラーボールがあってDJブースがあってステージがあって、お客さんたちがお酒を片手に楽しそうにかかる音楽に身体を揺らしていて「まじかー!」と思った。
chelmicoが気になっていた私にとって大好きな梅田サイファーとのツーマン、しかも好きなラジオDJである板東さんが関わってるとなると、最高じゃん!とほぼ直感的にとったチケット。

 

 

 

そしたら、まさしく「行きたかった」場所じゃん、と体温が確実に上がった。残念ながら整理番号は後ろの方。背の高い観客も多いからほぼ演者は見えないかも。だけど、そんなことが少しも気にならなかった。そんなことよりも、ひたすら踊っていたかったしいい音楽で頭がふらふらになる感覚に浸りたかった。そして、始まる前からここは「そんな場所」だとわかった。

 

 


始まった板東さんのかける音楽と煽りのトークにどんどん会場の熱気が増していく。ワンドリンクで受け取ったビールが美味しい。なんで、ライブ会場で飲むビールってあんなに美味しいんだろう。

 

 

 

期待値マックスで始まったchelmicoのターン。
ステージに上がると同時に「可愛い…!」となる空気感。しかも、その「可愛い」は「強い」と同義だと思う。魅力の強さ、可愛いという武器。
元々友だちが好きだと話していた印象からなんとなくアルバムをダウンロードしていて夜道にふわふわ聴くのが好きだったchelmico。歌い出して「あ、これもう大好き!」と確信に変わった。
「なんとなく好き」が「絶対大好き!」にスイッチが切り替わる、そんなステージが大好きだ。

 

 

 


楽しそうでハッピーで明るくて、でもそれはなんか、適当だとかそういうことでもなくて、芯のある見てて思わずこっちまでニッコニコになる明るさ。それが、chelmicoの音楽にはある気がした。
知らない曲のコールアンドレスポンスもこっちだよ、と手を引いてくれるから戸惑わない。
何より、そうしてふたりの音楽に手を引かれて身体を揺らしているとどんどん無重力になるような、あんなに重かった身体が気にならなくなるような、そんな気がする。

 

 

 

アルバムで大好きだった三億円を聴きながら、あーそうだよな、と思った。
楽にならないね、になんだかグッときてしまったり。でも、そう思う自分を押し殺して「仕方ない」と思ってた感覚に「仕方なくなくない?!」と言われたような気がした。そうだわ、仕方なくないわ。

 

 


満足してないわけじゃない、なのになんで毎日こんなにクソみたいだなって思ってるんだろう、何に怒ってるんだろう。
でも逆になんでみんな平気なんだろう。
そんなモヤモヤをchelmicoの歌声が吹き飛ばした。

 

 


やりたい!楽しい!欲しい!遊びたい!
そんなまっすぐでキラキラしたものがたくさん溢れる、そんなステージ上からの熱に気がつけばめちゃくちゃ笑っていた。
そうだよね、そうだわ。
そうして、MCの中でふたりが本当に音楽が好きなこと、こんな空間が好きなこと、そして観客のことを大切にしてくれていることが伝わってきて、幸せだなあと思った。

 

 

 

こんだけまっすぐで楽しくて、好きなものを大切にしていて、だからこのふたりってこんなに可愛いんだな。そうして、だからこそ、こんなすげえ音楽が作れて、誰かのことを笑顔にできるんだな。

 

 

 

 

そんなことを考えながら過ごす時間はあっという間で、そうしてやってきた梅田サイファーのターン。

 

 


今度は頭を沸騰させるみたいに(曲を知ってるからというのももちらんある)飛び跳ねてステージを埋める梅田サイファーにブチ上がる。
久しぶりだ、と思う。後から彼らも「梅田サイファー」としてのステージは久しぶりでは、という話を聞いてそっか、と思ったり。でも、久しぶりでも、少しぶりでもいつだって梅田サイファーは最高だ。

 

 

 

考えない時間を作るって難しいなあとここ数日、考えていた。
まじで「頭の動きを止める」が下手くそで、銭湯とか行って強制的に何もできない時間を作るかあと思っていた矢先。ああそうだ、梅田サイファーって私にとって「頭空っぽに踊りまくる」の時間だったわ、そんなことを思い出す。

 

 

 

酸欠になるような気持ちで「この音楽が、この瞬間が楽しい!」それしかなくなる。
例えば何が最高だったかとか、この時のこの人がとか、そういうことを覚えておきたいのに(特に今回はセトリがあまりにも最高だったから!)終わったらぽっかりと幸せな穴が空いてる。
それは嫌な感覚じゃなくて「楽しい」だけの一色の愛おしい穴なんだ。そして頭が常にぐるぐる動いておえーってしがちな私には必要な穴で、だから、今、この時間があってよかった、と途中心底思った。楽しくて訳わかんなくてただただぶち上がって手を挙げて身体を揺らして飛んで、跳ねる。
それは、私にとっては奇跡のような時間なのだ。

 

 

 

その中でも、今回、KBDさんのMCは頭の中のぐるぐるが熱湯で茹でられるなかで、なんか、深く深くに刺さった。
音楽により集中するために仕事を辞めたこと、こんなに熱中できることがあることが幸せだということ。
ボヤけた視界でもキラキラしてる笑顔が見えた。いつだって、楽しそうなパフォーマンスが魅力的なKBDさんだけど、その中でもとびきりの笑顔だったし、最高に格好良かった。

 

 

 

そうだよな。
スッキリした頭だから尚更、思った。楽しまないと、やりたいと思うこと、熱中すること、とめられらんないこと。そうだよ、そういうこと、大事にした方がいいし、そういうものがある人生って、最高で、幸せなんだよな。

 

 

そこからはもう、ずっと最高で、ぶちあがって、この瞬間があってよかった、がずっと続いていた。

 

 


そして最後、彼らのメジャーデビューアルバムの一番最初の曲である「BIG BANG」で、熱気に満ちたステージは終わる。
この曲が好きだ…美しい楽器の音色も清々しい空気感も、全部全部、初めて聴いた時から大好きだ。
何より、初めて聴いた1年前から時間を重ねて、その「最高の景色」はとんでもなく増えた。そしてこれからも増え続けると確信している。

 

 

アンコール、最高のステージを作り上げた人たちが集まってマジでハイをfeat chelmicoで歌い上げる。名乗り上げのようなこの音楽で、また心臓がバクバクする。それから流れるチーム友達にも、笑って歌って、ブチ上がる。
音楽が好きで好きで、イカした、最高の人たちがそこにいた。

 

 

楽しいことで頭をいっぱいにする。考え続けるために動き続けるために、それがいる。
だって、何かを呪ったり恨んだりしてると呪いの装備をつけられたみたいにどんどん体力やエネルギーを奪われるのだ。
そう、頭の中が楽しいでいっぱいになって、確信する。だってもうどこにも行けないと思っていた、重たい身体がこんなに軽くなってる。
それが十分、答えじゃん。