えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

美しいひとへ

ステージが好きだ。
演劇、ダンス、HIPHOPにJ-POP。その他もろもろ、ともかく生身の人間がそこに立ち、作り上げるステージが好きだ。
特に熱をあげるジャンルはその時々で違っても結局私は「生身の人間」を感じられるステージが好きなのだと思う。

 

 

そのステージで「こんなに美しいひとがいるのだ」と呆然としたことがある。
しかも、近い距離で見たわけじゃない。なんならそこそこ遠い席で、それでも「本当にきれいだ」と見惚れたことがある。

 

 

 


推し文化が苦手だ。
「推しラジオが終わったから本を作ることにした」なんて本を書いたり、このブログでも時折「推しが、」と書きながら何を言うのかと自分でも思うが、ともあれ、いまだに本当は「推し文化」が苦手だ。それは批判したいというよりもむしろ自分と周囲の熱量を比べて引け目があるのだと思う。
こんなブログを書いていたりTwitterも基本的に「好きなものの話」をするために使ったりしていると自然とタイムラインは好きなものの話……今風に言えば、推しの話に埋め尽くされる。


それを見ていると純粋にすごいなあと思うのだ。言動への一喜一憂やその輝きを出来うる限り観たいと感じたいと思うこと。その一途さに私はただただ「すごいなあ」と思うことが多い。
いやつくさんも十分一喜一憂したりしてますよ、と言われてしまえば、本当にそうなんだけど。

 


昔ほどの劣等感はないけれど、それでもいまだに、私は昔言われた「あなたより私の方が好きなんだから」という言葉を気にしているのかもしれない。
そして、気にしているのは、実際、その自覚があるからなのだ。

 

 

 


それでも、この人が好きだ、と思う。
熱烈に愛される人のひとりでもある、登坂広臣さんだ。私はこの人のことを「好きだと言いたい」と泣きそうな気持ちで思った日のことを覚えている。

 

 

 


その日も私はここに来ていいのか、受け取れるのか、受け取ったとしてそれは自分が憧れていた彼とズレていたら勝手に受け取っていたものが自分のご都合主義的なものだったらどうするのだ、と問いかけ続けていた。
さわやかのハンバーグを食べてちょっと浮かれていた友だちとふたり、会場までの道中軽い登山をすることになって「どうしてこんなことに…」と苦笑しつつ、それでもやっぱりどこか、苦しい自問自答を続けていた。

 

ステージ終わり。


その時間を差し引いてもお釣りをもらいすぎるような心地で、帰り道歩いていた。友だちが相槌を打ってないことにも気付かないくらい夢中で、いかにこの感情が抑えられないか、これが好きじゃないなら何が好きなんだというもうまんま、文字に起こしていると頭の様子がおかしいことを喚いていた。それをじっと聴いてくれた友だちには感謝しかないし「相槌打ってないことにも気付かないのすごいねえ」ってしみじみされたこと、なんだか、今思い出しても有難いやら恥ずかしいやらだ。

 

 

ともあれ、本当に、あの時の湧き上がるような感情はなんだか物凄かったのだ。

 

 

目の前のひとが、本当に美しくて、その音楽が好きで、ワクワクして、そうしてステージから客席へ向けられる眼差しの優しさに完全に喰らってしまった。

 

 

 

愛情のひとだ。
おみさんのことを知り出した頃も、いや、知れば知るほど、そう思う。
メンバーや先輩から愛され、それを臆面もなく、受け取れるひと。そんなところを最初好きになった。愛情を受け取るということは実は結構難しい。それをやってのける彼は、とても優しい人だと思った。
そして何より、そうして受け取った愛情を惜しみなく自分も、誰かに手渡せる。私が好きな「登坂広臣」というひとは、そういうひとなのだ。

 

 

 

そのことを私は去年、改めて感じた。そのことを今日はずっと考えていた。
コロナ禍になってからの3年。その間の彼の発信、逆に発信せず、過ごしていただろうこと、そこから少し話してくれたこと。
それを支えて来たMATEへの敬意を何度も私は、言葉にしたりもしたけど、LANDを見たときに「私はその場にいなかった」と思わなかったのは、きっとおみさんだったからだ。
それはいつかデビューから、ソロ活動開始から、と好きになった時間を基準にせず、まるでひとりひとりと目を合わせるように伝えてくれた、そのことと繋がっている。
愛の人は、いつだって変わらず、真っ直ぐに愛情を届けてくれる。

 

 

 

LUXEがリリースされた頃、自分の道を信じる音楽に、私は勝手に背中を押された。
痛いほどの真っ直ぐさに憧れて、惹かれて、そこから満月の中、綴られる音楽に夢中になった。

 


そこから、変わらず、いや、しなやかさをどんどん増しながら強く光り続ける、あなたをこれからも愛していたいと思う。

 

 

自分を信じる強さを、愛される美しさと何かを愛する真っ直ぐさを、教えてくれた、あなたのこれからをもっともっと見ていたい。どうか、たくさん、幸せでありますように。

 

 

お誕生日、おめでとうございます。