えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

輝く星を見て生まれて初めて「恋人じゃん…!」とステージを見ながら思った話

愛されてたな、と思う。
エアハグをしてもらった瞬間、思わず泣いてしまった。



※個人的な「及川光博ワンマンショーツアー2023踊って!シャングリラ」大阪初日の感想です。一部、ネタバレというほどのことではありませんが、MCや曲を推測できる表現があるため自衛ください





及川光博さんのライブに足を運んできた。友だちに誘われ、予習のためのお勧め曲や動画、ライブの時の雰囲気などを教えてもらったのが数週間前。
ところが残念ながらちょうどここ1ヶ月と少し、仕事にプライベートにと立て込みだし、最後の1週間でなんとかと思っていたのが更に仇となり、勧められたアルバムも何度か聴ける時に聴いた、くらいの状態。




正直物凄く申し訳なかった。もちろん、友だちはそんなことを気にしない方だと分かってはいるけど、とても良席で、そしてせっかく自分の好きな方のステージに、と誘ってもらったなら万全の状態で迎えたい。そんな気持ちと真逆の状態なのがもうあんまり向き合うとバッドに落ちてどうしようもなくなるな、と一旦忘れるようにした当日。
イメトレに、と過去のライブDVDを見せてもらって、なんならその時点で「すげー!」と興奮していた。





派手な衣装を完璧に着こなしパフォーマンスされるミッチー、メンバーの技術、ステージング、コンセプト、ベイベーたちとの一体感…そして愛と哲学の小部屋をはじめとするMCに溢れるユーモアと知性と優しさ。





冷静にこの時点で「え、数時間後これ生で観るのやばくない?」と焦り出す。なんなら出来てる準備は黄色いシャツ(※今回のツアーコンセプトカラー。毎ツアーでカラーが決まってるの素敵だな、と思っていたので混ざれて嬉しかった)とお使いしていただいたグッズのシュシュのみ。





そうして向かう道中、カラーコンセプトに則った素敵な想い想いの服装を着たベイベーたちが溢れ出すのに興奮した。特に今回は黄色という華やかな色だったから余計に街中がどんどん華やかになっていくことに自然と笑みがこぼれた。そうして、そんな光景を見ながら話していると友だちから「ライブはミッチーとのデートだからお洒落してきてね」っていうお約束(という表現でいいか分からないけど)があると聞き、更に周りの景色が輝いてみえた。なんだそれ、素敵すぎる。




好きな人のライブに行くのは楽しい。嬉しい。とびきりの晴れの日である。ステージに立つのは自分ではないけど、私たち観客はとびきりのオシャレをするし気合を入れる。
それを真摯に受け止めるだけじゃなく、「デート」と呼び、「だからお洒落してきてね。テーマカラーとコンセプトはこれだよ」と約束してくれるミッチー、それはもう、とんでもなくスターじゃないか…!




そして、そしてである。
話は冒頭に戻る。黄色い歓声、聞いていたコールアンドレスポンスに参加する楽しさ、それににこにこしているとミッチーが「エアハグ」をしてくれたのだ。





我ながら推しは多い方である。色んなジャンル、色んな表現の推しに今まで愛情と素敵な世界を見せてもらってきた。それと比べて、という話じゃない、話ではないと力いっぱい断って言いたい。完全に「ハグ」された。
多分、生まれて初めて純粋に(?)恋人じゃん…!とパフォーマンスを見ていて思った。





途中、MCの中で私たちの歓声に嬉しそうに「かわいい!」と言われて心底びっくりした。か、観客に可愛いって声かけてくれるアーティスト、多分、生まれて初めて観た。かわいい?可愛いと思ってくれるの?愛おしく思ってくれることをこんなまっすぐに表現してくれるの……?





音楽が好きなんだな、と端々で感じるパフォーマンスでそしてその好きを通して、作ってきた世界観と(そしてミッチーの言葉を借りれば)信頼と実績を持って、その全部で、目の前にいる「私」を愛してくれる。






何を初心者ベイベーが言ってるのかと笑われるかもしれない。だけど、むしろ初心者の初めてのステージのこの気持ちを忘れたくないのだ。
恋人じゃん、と思った時、「ああ、こんなふうに愛して愛されてする感覚を"恋人"って表現でしか表せないの、なんなら悔しいな、なんだろうななんて呼んだら良いんだろうなこの感じ」と真剣に目の前のステージを楽しみながらひたすら考えていた。
個人的に「この世にある言葉」で表現し切れないと思う感情や感覚に出会えることは、奇跡みたいだと思っているし、早々ない幸せだと思っている。その幸せを、こんな素敵で嬉しい、愛おしい形で味合わせてくれたミッチーに感謝しかない。






甘やかされた、とか、全肯定された、とかじゃないんだ。
ただ、全力でそしてミッチーの言葉にもあった通り、いい意味で肩の力が抜けた状態で「あなたはここにいて良いんだよ」と言ってもらえた気がして、愛されていたなあと思ったし会場でも泣いてしまったし、今もこうして思い出しながら泣いている。





音楽も「楽しませる」ことに全振りし、何十年もの時間の中で作り上げてきたエンターテイメントも、ベイベーたちとの関係性、メンバーさん、スタッフさんとの関係性も、どれもミッチーの愛と努力の結晶なんだ、ときらきら光るステージと客席を見ながら思った。決してその平坦ではない道を、でもひとりひとりに届くこと、届けることを諦めずこだわりつづけて光続けた「星」は、紛れもなく「スター」だった。





そうして、ふと、ミッチーの曲の中には「推し」について歌われたものがいくつかあるんだな、ということを考える。
「これたぶん沁みるよ」と仕事がギリギリな私を観かねた友だちから勧められた「Shake me, darlin'」なんてまさしくそんな曲だし、そこで歌われる歌詞はよくぞここまで…!と震えそうになるくらい私たちの気持ちが込められてる。







そうなんです、私たちにとって、ライブってそうなんです。なんとかこのクソみたいな生活を乗り越えていくための「生きてる理由」になる時だってあるんです。グッズ握りしめてなんとか乗り越えた瞬間が、音楽を聴きながら涙を噛み締めたことが、何度も何度もあるんです。





そうして思う。そっか、ミッチーのパフォーマンスで「愛されてる」と思ったのは、それをこんなに真っ直ぐ受け止めて「知って」くれているからだな。そしてそれを「可愛い」と表現してくれるその懐の広さにびっくりしたんだ。


もっとも私は、ファンはあるいはオタクは勝手に好きでいるだけだ、と自戒を込めて思っている。それは、私自身が思い込みが強く、0-100思考の人間だからだし、勝手に救われようとする身勝手さがあるからだ。
だから、全てのアーティストに受け止めろ、とは思わないし、なんなら受け止めようとしないで良いんじゃないかな、とすら思っている。
だけど、長年ステージに立ち、きっと色んなことを考え、感じてきただろうその人が、こんな風に真っ直ぐに愛情の人でいてくれていることが、とんでもなく奇跡なように思えるんだ。




そして、そのステージの上できらきらと輝きながら「良く生きていこうね」と笑いかけてくれたことが、本当に嬉しかった。自分を愛してあげて、他人と比べないで、時間を無駄にしないで。星のように輝いているその人は一つ一つ、丁寧に言葉を尽くして、愛してくれていた。



だとしたら、そんなの、裏切れないじゃないか。
真っ直ぐにこんな素敵なひとに愛された自分を粗末にするのは、絶対に違うし、できたら良い人でいたいと改めて思う。良い人で、素敵に生きて、また堂々とこのスターに会いたい。
夢みたいな時間は、確かに現実と闘う……いや、現実を楽しむ力をくれた。
この力でまた、私は一年頑張って彼のステージを晴れやかな顔をして観に行きたい。もちろん、その時はとびきりのお洒落をして。