えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

イナズマロックフェス2023初日

音楽があって、踊ってて、何より何かを「好き」な人たちがいる。そのことが無性に嬉しかった。




突然だけど「フェス」に対して漠然とした苦手意識を持っていた。スカしていると言われたらそれまでだけど、いろんな音楽を一度に楽しめてわくわくするという気持ちに恐怖心が勝つ。
しかし、職場でも好きなアーティストの話やライブが楽しいという話をするものだから「じゃあフェスに行ったら良いのに」と勧められてきた。
しかし、どうしたって怖いのだ。






その度に「楽しそうだなって思うんですけど、いろんな音が聞こえる空間って怖くないですか?」とわけも分からないことを言って、上司や同僚を戸惑わせてきた。






でもだって、音楽って主義であり、主張であり、信念なのだ。
多少の音楽ジャンルの括りがあるものもあるけれど、とはいえ、同じジャンルならなんでもあり、という人ばかりではない。なら、そういう信念だとかが(アーティストの、というよりもそれを好きな人たちの)溢れている空間は良いな、という気持ちと同じくらい怖かったり不安だったりするのだ。不意打ちで誰かの思いにストレートに出逢う機会は結構こわい。
とか小理屈捏ねているとどんどん、フェスへのハードルが上がっていった。






そんな私が唯一行けるフェスであり、何より「行きたい」と思うフェス。それが「イナズマロックフェス」である。
数年前、ひょんなことから西川貴教さんファンの友だちに連れられて行ったその場所が、私は好きだった。
その好きだった、の記憶と友だちと音楽を聴ける特別さに好きなCreepy Nutsが出演するというビッグニュースが乗って増しまし、イナズマロックフェスへと行ってきた。




雨なことも多いイナズマロックフェスだけど、フェス初心者にとってはありがたいことに初日は快晴。自分なりの準備を装備して向かった守山は、駅に降りた瞬間から「イナズマロックフェス」が始まっていた。
のぼりはもちろん、あちこちの広告がイナズマロックフェスを知らせ、ご当地のご飯が売ってある。フェス会場の手前までも?!とはしゃぐし、何より、思い思いの格好をした人たちが嬉しそうでその時点でたまらなく嬉しくなった。





当たり前だけど、フェスは色んなアーティストのファンが来る。だから、身に付けているグッズもシャツもそれぞれ、色んなアーティストやフェスのもので、絶妙にバラける。でも、そのどれもが、それを身につけている人にとっての「好き」であり「大切」である。
もちろん、私もしっかりCreepy Nutsのグッズを身につけていた。そういうところから、非日常はきっと始まるのだ。
さっき、色んな信念と不意打ちで出逢うのが怖いなんて言いながら手のひらを返すけど、でも、やっぱり良いな。みんななんか、嬉しそうで。きっと他のフェスもこんな感じなんだろうな、と自然とそんなことを思う。
いつだって、漠然とした不安は飛び込んでしまえばなんでもないことだってするんだよな。




冒頭の挨拶から始まり、そのまま流れるようにブチ上がった西川貴教さん率いるT.M.Revolutionのパフォーマンス。
挨拶の時点でかなりグッとしてしまっていた。今年15周年のイナズマロックフェス。滋賀を愛して滋賀を楽しんでほしい、味わってほしいという気持ち、そこからの音楽を楽しむということ。その熱意と愛情が詰まりに詰まった場の話を主宰その人から聴けることは、たまらなく素敵な時間だった。
秋晴れの下、伸びる声にワクワクした気持ちがどんどん膨らむ。




予習はやんわりしたものの、ほぼ初聴きになった楽曲たち。だけど、そんなん関係ないくらい楽しかった。格好良かった。
そして何より、私には分からないながらに周囲のファンの人たちが好きな曲のイントロがかかった瞬間にぶち上がったのを見て、泣きそうになった。これは、ある意味では予習しまくらなかったからこそかもしれない。
ちょうど斜め前のお兄さんたちが抱き上がって喜ぶのを見た時にたまらなく嬉しかった。誰かがそんなプラスの感情を爆発させるところも、早々観れるものじゃない。
そういうのが、あるんだよな。




そうしてグッズを買い、昼ごはんを楽しみ(めちゃくちゃ美味しかった!)
平和堂さんやエサテーさんのブースも、その愛情たっぷり感に幸せになりつつ。



Creepy Nutsの場所取りも兼ねて、予定より早く雷神ステージに戻ったことで出会えたFear, and Loathing in Las Vegas(通称なんちゃらベガス。通称がイカす。ので、以降はそちらで表記させていただく)
普段聴かない音楽ジャンル、初めましてのアーティスト。いわゆる、楽しむ下地が整ってない中でも一緒に「揺れる」ことができる「踊る」ことができる。
すごいな。
テストの段階から色んな音が聴こえて、友だちとひたすらワクワクした。
そしてそのワクワクは期待の遥か上を越えて突き抜けていく。いかつい音楽とでも初見やジャンル外の私たちも歓迎してくれながら進むセットリストに自然と身体が動く。
正しい楽しみ方か分からない。だけど、きっと、「正しい楽しみ方」なんてないのだ。もしあるとしてもあの時のワクワク感が十分それだろう、と思う。



また間のお笑い芸人さんの幕間も最高だった。
瞬間瞬間までずっと「楽しませる」の感覚が濃いひとたちしか、あの場にはいないんだな。






そして、そこからの、Creepy Nuts
4月のラジオ最後のイベントぶりだと気付いてからどんな気分になるんだろうとまたドキドキしていた。新曲が聴けるらしいということも知っていたから更にドキドキがやばい。
まずは冒頭、松永さんのルーティン。おそらく初めて聴いたルーティン。ほんとに、ほんとに、めちゃくちゃ格好良かった。すごい。
ルーティン、というかDJプレイ、技術的なことは分からないけど、それはそれとして本当にたまらなく格好いいということだけは分かるし、何より感覚的に「イケてる」とワクワクする。
もうそっからは一気です。
何より、フェスでぶち上げていくCreepy Nutsの象徴的な楽曲「助演男優賞」をフェスの現場で聴くことができること、すごい。こんな夢みたいなことがあるか?
また、彼らの初めて聴く中でもめちゃくちゃ刺さる、ノれる音楽たち、そしてその中でも彼らふたりのスキルに圧倒される新曲ビリケンも含まれたセットリストは「この人たちが私の大好きなHIPHOPユニットです」とドヤ顔したくなった。
ドヤ顔っていうか、なんか、ああ嬉しいなという感覚と「この人たちのことすげー好きなんだよな」と噛み締めてしまった。




ロックとハードコアと、HIPHOPと。
色んな音楽の詰め合わせで、でもその全部が最高で、違うけど全部「最高」という共通点があって、そうか、フェスってこんなに楽しいのか。
たまらなくピースフルなあの場所のことを度々思い出しては嬉しい気持ちになっている。