えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

問い掛けに「はい」と返す

舞台に立った。



確認するまでもなく、私はただの会社員で一般人で、別にブログやラジオごっこをやろうが、ただの普通の人である。
それでもたまたま色んな巡り合わせで、お話を作り、練り上げて舞台に立った。


舞台に立つ日、私はかなり元々ベタにキメたいたちなので、Creepy Nutsの板の上の魔物を聴きながら朝、ぼんやりしていた。




「つまらねぇお前の人生はつまらねぇ」
ずっとコイツに言われ続けて来た今の今まで
「つまらねぇお前の人生はつまらねぇ」
だから俺はテメェにある武器ただ磨いて来ただけ


ああ、ほんとにそうだよ。
自分が板の上に立つこと、何かを表現すること、それに値しない人間だと誰よりも自分で自分に思いながら、ここまでやって来たんだよ。





私は、元々、自分の表現というものに自信がなかったんだと思う。
お金を稼ぐ生業でもない、誰かに求められているわけでもない、かと言って「それをしないとやっていけない」ほどの切実さもない。



その上、人並みより少し多めに表現というものに肩入れして生きているものだから余計に「そんなもの」と自分の表現にどこか卑屈になっていた。




ただ今回、色んな巡り合わせで「一緒にものづくりをしませんか」と誘ってもらって、本当に短いお話を書いた。
作る時に、この2年でずっと考えていたことを物語にしようと思った。言葉にしようと思った。それは、お芝居というのかラジオというのか、なんかそのあいのこみたいなお話だった。



源さんの「話したいことがある人はラジオやってみれば良いと思う」で背中をおされ、Creepy Nutsをきっかけに「俺の話」をしたいと思い立ち、KZさんのライブで自分が好きなことをやろうと思った私は、ともかく、この2年を全部詰め込みたかった。
嬉しかったことも悔しかったこと、いまだに飲み込めてないことも全部全部、板の上に置いていこうと思った。




どうしたって、いま、表現が私はしたかった。




生きていかないといけないなら、せめて表現がしたいと思った。目を開けて歩いてるだけでわりとしんどくなる瞬間が多いので、自分で好きだと思えるもの、好きだとか面白いだとかそういうもので身の回りを固めて、そういう時間を自分の時間の中で割合増やして、なんとかやっていきたかった。




誰かに請われて、求められてやってるわけじゃない。どこまでも自己満足で自分のためで、だからこそ、徹底的に楽しもうと思った。




学生の頃なら。
自分を知らない、自分に対しての好意とかで「良く見てくれる」甘やかしてくれる相手以外から評価されないといけないと思っていたし、それができないから自分の表現に価値を見出せなかったんだと思う。
だけど、あの頃からしばらくの時が経って。むしろそうじゃなくて自分の手の届く範囲、自分にとっての大切なひとが、笑ってくれる「ああ楽しかった」って言える瞬間を増やすことがしたくなった。




そして、そういう意味で、今回芝居を一緒に作ったひとが「舞台上にいる時、本当に楽しかった」と笑ってくれたことがめちゃくちゃに嬉しかった。観客にとってどうだったか、で雁字搦めになってたらきっと思えなかった。それがどれだけ奇跡的か、今の自分なら知ってる。独りよがりに消耗させたこともあるから、嬉しそうに笑ってくれた相手の顔をちゃんと覚えていようと思った。




終わった後あそこはああしたら良かった、ここは伝わりにくかった、と反省点は多い。大満足!と叫ぶには、まだ足りない。でも、そんなことが、たまらなく嬉しい。
また何かを作りたい、と思えてることがすごくすごく、嬉しい。




終わった後、ある人が話しかけてくれた。星野源オールナイトニッポンに大いに影響されて書いたのでほんの少し混ぜた、おまじないみたいなオマージュにニヤッとしたと言ってくれた見知らぬ年下の方が、「もしまた何かあったら一緒にやりたい」と言ってくれた。
それが実現するかは分からないけど、自分が作ったものを見てくれた人が「ああ楽しそうだな」って思ってくれたことを繰り返し繰り返し、思い出してる。
好きな人たちが作ってくれる「楽しい」や「面白い」でなんとか毎日生活している私でも、誰かの「楽しい」や「面白い」まではいけなくても「楽しそう」は作れただろうか。




自惚れ過ぎてもダメだろうし、「こうしたかった」もたくさんあるけど、それ全部含めて、幸せ噛み締めて、やりたいことをこれからもやっていこうと思う。
自分がやりたいなら、表現はどこでだってどんな形だってできるかもしれないんだから。




まあそれはそれとして、今年、仕事もがむしゃらにやって小説書いてラジオごっこしつつ好きなことも全力で楽しんで、舞台までやり切れたことはちょっとだけ「よくやったんじゃないの」と思いながら自分を褒めてやろうと思う。
そうして、次、また何か面白いことをやっていくために。




そんなことを、日常に戻りながら思ってる。


それはそれとして、こんな無茶いろんな友達や家族が助けてくれなかったら実現できなかったので何よりそれを忘れないようにしたいな