えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

自家中毒ヤケクソ日記

春だなあ、と思う。変化も大きくて天気も不安定で、何かを始めたい気持ちにもなるしじゅくじゅく溜まった疲労も気になる。




ところがよくよく考えると


世間じゃもう春というか初夏に片足を突っ込んでるらしい。
衣替えという概念を社会人になってほぼ捨てた。多少は意識するけどそもそも半袖だけで服を着ることがかなり少ない人間なので大掛かりな衣替えが必要ない。その上、寒がりだから世間の言う「衣替えのタイミング」は若干テンポが合わない。




トレンチコートを着て職場について、ハンガーラックにかけるときに、昨日までずらりと並んでいたコートが見当たらなくてああまたか、と呟きたくなった。ひとり、妙に目に刺さる色をしたコートがぶらりと下がっているのをなるべく観ないようにしながら、座席に座る。



またか。




テンポがズレる。喋っていることが上擦る。みんなが気にならない音にイライラしてしまって仕事に集中できない。そういう積み重ねの結晶のようなコートに私はため息をつきたくなる。




なんとなく、テンポがズレてる。世間と、というのもまあそうなんだけど、そうじゃなくて、それだけじゃなくてなんなら自分の中身とすらテンポが噛み合っていない気がする。



好きなものがたくさんある人間のつもりだ。
だからこのブログにも「好きなものの話をしよう」と書いている。でも、なんだか、この間から「私の好きなものってなんだったんだろう」と気が付けば考え込んでいる。




何をしたら好きに足りるのか、とも
どういうものなら好きに値するのか、とも
いつものそういうなんとも言えないもの、を眺めているのもあるし、
あとはなんだか今は無性に「何かを好きだと言うことで何かを嫌いだと表明することになりゃしないか」というものに怯みすぎているのだと思う。




更に言えば自分の中のテンポのズレも他人とのテンポのズレもどれもこれもが、浮かんでくる言葉、目についた耳に入った言葉全部に反論してその反論を黙らせようと更に反論して、という堂々巡りをしているから結局自己完結的になって、テンポがズレていってしまってるんだろう。
ずいぶんとまあ、バカバカしいなあ、と思う。




そんなことよりも、楽しい話がしたい。なんか妙に、やっぱり気のせいなんてもんじゃなく、みんなちょっと気が立ってるような気がするし。




日が長くなって会社の窓から見る夕焼けの空の燃え方だけで疲れが取れそうな気がするくらい嬉しい、とか。
飴ちゃんを同僚に配ると嬉しそうな顔をしてもらえるからちょっと気分がいいとか。
好きな音楽が増えた話や、ドラマをわくわくしながら観ているといつかの頃、ドラマを観て支えられてた時のことを思い出すとか。



自家中毒に負けそうな日でも、そういう対抗策が浮かぶからまだ大丈夫。