えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

脳みそを褒め称える

自分語り、しかも、自分を褒め称える自分語りがしたい。





私に限らずだとは思うけど、3年前くらいから調子をずっと崩していた。
眠れないし逆流性食道炎になるしそうなると生活全部がどうでも良くなるしでもその気持ちのままで過ごすと身の回りの人との関係もギクシャクするし
なんとかほつれを治したりたまに面倒になって放り出したり、でもやっぱりあわてて拾いに行ったり。



その中で、何度も病院にも足を運んだ。
心理的なものだ、と何度も言われるし実際まあそうだね、と思うから胃の調子が大幅に悪いとかじゃない時はいくつかの病院で調子を確認する。



でもその度に「あなたはどこも悪くないしできることはありません」と言われる。
なら、と生活してるとやっぱりズレて「当たり前」ができない。
掘り下げて話し、尋ねてどうしたら良いか聞くと「考え過ぎじゃないか」と言われる。そうして考えて押し殺そうとするから胃の調子も崩すんですよ、頭痛もそのせい、寝れないのもそのせいです、と言われる。




まあそりゃ、そうなんですよ。
言われるまでもなく知ってはいるけど、でもだって脳みそは取り外しできない。
時々思考法のハウツー本を勧められてその度に読むけど「それはもうやってるんだ…」と悲しくなる。




生きるのが下手くそだからいけないんだと落ち込み、なら止めた方がいいんじゃないかと本気で思って検討して、でもそうじゃないよな、と思い直したことも何度もあった。
医療でどうにもできないなら、自力しかないとなるべく刺激を減らしたり散歩に出掛けたり生活を変えたりした。
諦めに近い感覚で、「そういう生き方が下手な自分」を受け入れることにした。





そんな最近、唐突に「思い出せない」ことが増えた。
知ってるはずなのにわからない。考えられない。
いよいよか、と思って病院に行ってきた。脳のMRIを撮ったり検査したりして。




ここで出会ったお医者さんが、すごく、ありがたかった。
元気じゃんって言うことなく「それはしんどかったねえ」と問診票を見た時口にされて「あ、しんどいで良いんだ」とびっくりした。




お前の性格、生活のせいじゃなくて良いのか、そうなのか。





たまたま出身地が近いお医者さんが、懐かしい言葉で軽快な口調で雑談を交えながら話をする。なんだかもう、その時点でかなり居心地が良くて「ああ良かった」と思った。


これは別に今までかかってきたお医者さんを責めたいわけではない。実際、生活に具体的な支障をきたしてなくてただ「しんどい」としか言語化できない患者だったから、そりゃ、打つ手もなかったと思う。
ただ、やっぱりその「しんどい」を大変だったねえ、と言われたことに心底、ほっとした。



脳みその写真を見ながら一つ一つの器官、その機能を説明してくれるお医者さんが言う。
「つくさんね」とそうして写真を表示しながら、私の顔を見る。



「つくさんの頭は、たくさん考えるひとの脳なんだよ。良い脳だね、褒めるところしかないよ」




不安になってやってきたのに異常なしだったことを責めるどころか、お医者さんがそんなことを言う。たくさん考えてきたんだねえ、という言葉は真正面で受け取るには有難いし、なんだかちょっとくすぐったくて受け取り方が難しい。

言わせてしまった、とも思う。

もごもご、実際そんなことを言ったと思うし、結構本気で慌てた。これじゃカウンセリングだ、とも思う。
でもそんな私に「この脳は、つくさんが自分で作ってきた脳なんだよ」ともう一度お医者さんが言う。
「こっからやるべきことと言ったら、ちゃんと脳を休ませることと脳を信じることだよ」



考え過ぎるからダメなんだと思っていた。
なんでもかんでも自分のキャパも考えずに真正面から考えて悩んで勝手に苦しんでる自分が、ずっと許せなかった。そうやって人に迷惑をかけることにずっと苛立っていた。

こんなんブログに書いてどうすんだ、自慢かよって思うでしょ?それはまじで本当にそうなんだけど、でもたまには、自分の脳みそのこと、褒めさせてほしい。
考え過ぎてダメな頭だと思っていた脳みそを、良い脳だよって言ってもらえたことを噛み締めて、覚えておくために文にさせてほしい。
そうか脳みそ、頑張ってくれてたのか。おまえ、ダメな奴じゃなかったのか。



自分がやりたいこと、好きなこと、諦められないこと、そういうことを一つ一つ脳の写真を見ながら「こういう部分からこうだから、きっとこういうこと好きでしょう」と言われるのをびっくりしながら聴いていた。泣かなかったのは、もはや意地だった。



「脳を信じて、やっていってね」
脳神経外科ならではな言葉で締めくくってお医者さんがにっこり笑う。休ませるのも大事だからどうしても寝れない時はまたおいでね、と言われたことに深くお礼を言って帰る。




こっから、ふにゃふにゃの脳にならないように、扱いにくいところが多々ある脳みそだけど、仲良くやっていこうと思う。あとたまには、ちゃんと栄養あげるために黄金糖でも常備しておこう。