えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

よふかしの話

ラジオが終わった。
意外にケロッとしてる自分とそりゃ、あの放送だもんと思う自分とに挟まれながら私の生活の中にあったラジオの時間の一つが終わったことを噛み締めていた。


散々卒業発表から大騒ぎしてきたし、なんなら当日だって自分の感情がどっちに転ぶかわからなかった。



そもそも


ラジオが終わることになんでこんなにダメージを食らってるんだろうと何度も考えた。
わりとまじで周囲に心配されて、それを有難いなと思うと同時に大丈夫ですよとも思っていた。
わかってるから大丈夫、むしろ好きな人たちが好きなことをするために選択できる、止まれるその凄さを知ってるつもりだし、だからそんな、まさかダメージ食らうわけねーじゃん、とも思ったし
さらに言えば私は「どんどんデカくなっていくふたりのラジオ」というよりかは割と「もうすでにビッグネームになりつつあったふたりのラジオ」のタイミングで出会ったので「Creepy Nutsオールナイトニッポン0(オールナイトニッポン)」の醍醐味を味わっていたのか?と言われるとほんの少しズレていたような気がする。



そうしてなんとも言えない気持ちで、ああでも楽しかったなと噛み締めながら、過ごしていた翌日。唐突に、全く関係ない場面でああ、あのラジオが大好きだったと思った。




別にエモい話なんてしなくても良かった。
ここでだけできる本音の話もあの時の本心もなくたって良かった。
大切なお知らせをこのラジオで一番に教えてくれなくたって
コーナーで終わってもフリートークで終わっても
笑えても笑えなくてもちょっとそれはどうなのって思っても




なんだって良かった。




ただ、そこにラジオがあってくれたら良かった。
そこにラジオがあって、そこで二人が楽しそうに笑ったりしててくれたら、もうそれだけで良かった。






あの夜。
それは、いくつもある"あの夜"だ。
初めて聴いた広島遅刻回をタイムフリーで夜道を歩きながら笑いを堪えた夜、トーク直後の選曲に興奮して、そうしたら家に帰る気になれた夜。
寝る間際ずっとかけっぱなしにしたラジオからふたりの爆笑が聞こえてきて起こされたのに少しも嫌な気持ちにならなかった夜、むしろうっせ!と笑いながら、珍しくすっきり寝れた夜。
自分にとっても大切になった言葉がいくつもあった色んな出来事の中でのラジオに耳を傾けた夜。
寝れないまま聴いたラジオでGREENとGreen dayクイズをしているふたりの声を聴いてたら馬鹿馬鹿しくてそのまま夜道の散歩に出かけた夜明け。



重なっていったあの夜はどれも、自分にとっては特別だけど、でもそれはどれだってきっと些細だ。というか、忘れた些細な夜だって大切で、むしろそんな夜があったからこそ、私にとって大切だった。






自分のためにやってるんだ、と何度も思った。
ラジオが好きなこと、面白いことが好きなこと、HIPHOP
「あなたのために」なんて決して言わないふたりが好きだった。勝手に重ねてという、げらげらいつまでもふたりだけの会話みたいに話して笑うふたりが、私は大好きだったのだ。




Creepy Nutsのライブが好きだ。
コロナ禍で「生のエンタメ」を楽しんで良いか自問自答し続けて半ば半泣きになりながら向かった「Case」。その前に配信で観た「かつて天才だった俺たちへ」。
去年、何度も通い、自分のやりたいことへのエネルギーを何度ももらった「アンサンブル・プレイ」。節目に生で武道館に立つふたりを観れた「Creepy Nuts Major Debut 5th Anniversary Live 2017〜2022 in 武道館」。


そのどれもで真正面に自分の話をする彼らを、好きになった。
曲とMCで見事な一本の上質な芝居を観れたような気持ちになれることに何度も新鮮に驚いた。そこで自分を勝手に重ねて楽しんできた。



ラジオでのエピソードトークたちがあったから、ラジオの彼らを知っていたから、だからより、ライブが楽しかった。
私は、そう思っていた。


でも同時にステージの上、音楽の彼らとラジオの彼らがイコールで繋がっていなかった。
ラジオで何度も話した「Creepy NutsのR-指定」と「Creepy NutsのDJ松永」がステージの上で配信で観た彼らだとなんだか昨日、ようやく実感した気がする。



ラジオの卒業発表当時、HIPHOPは近況を伝えるような音楽だから、と松永さんが言っていた。でも、だから寂しくないと言われるとそれとこれとは違うんだよと何度だって思った。だって違うんだ。
だというのに、昨日、最後のふたりの言葉を聴きながらなんでかようやくああお別れじゃないんだ、と思った。



夜中何度も会った、話した、あのラジオの彼らと、これからはステージと客席の距離で会う。
いやまだやっぱり「ラジオのふたり」を恋しく思うような気持ちはなくならないけど。でもいつかのような失くしてしまう気持ちは少しもない。





「パーソナリティが自分のためだけにわかるよ、わかるよと話してくれる場所」
その大切な一つが私にとってはCreepy Nutsオールナイトニッポン0であり、Creepy Nutsオールナイトニッポンだ。



何も聞かず正さず、ただそこにいてくれる夜は、なくなったりはしない。



きっとこれからも記憶の中で周波数を合わせて、あの彼らの話を聴きに行く。
そして音楽の中でも記憶の中だけじゃない、今同じ時間を過ごしている彼らの話を聴いたりするんだろう。
積み重なったあの夜が確かに自分の中にずっとある。



なんだかこれもしっかりエモ泥棒な気がするし、こんだけエモに浸っても22日にはまたラジオイベントがあるんだからどんな顔して良いか分かんないな。
でもきっと、いつもどおりへらへら笑って楽しむんだろう。それが私は、ものすごく楽しみだ。