えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

塚口サンサン劇場のはなし

「ああ、つくさんが好きな映画館ね」
最近そう言われることが増えてびっくりする。よくよく考えれば、あれだけ定期的に呟いているので、フォロワーさんの印象に残るのもそりゃそう、かもしれない。元々取り組みが面白く、またそのアカウントの使い方なども個性的で、それで、知名度が高いというのもあるだろう。


塚口サンサン劇場さんが好きだ。
通い出したのは、HiGH&LOWにハマってから。HiGH&LOW THE MOVIE2から好きになり、しかも上映も終わりがけにみたせいで「もう観れない…」としおしおしていた中、やってるよ!と教えてもらって向かったその映画館。


場末の、なんて自称するけど、綺麗なその映画館は70年以上続く老舗の映画館だ。長く尼崎に住む先輩から「懐かしい、小さい頃行ったよ」と言われるとびっくりする。
そうか、この映画館は街の人の昔の思い出の中にもずっとあるんだなあ、と、そういうエピソードを聞くたび、嬉しくなる。

 

大きなシネコンでは観れない映画や、特別音響の映画、また、関連作品をハシゴ鑑賞できるように組まれたリストにと行けない週の上映リストも見ていて楽しい。うっとりする。
アニメもあれば、邦画、洋画、アイドル作品に、過去の懐かしの名作。
ジャンルが幅広く、またそれらを全て1人の館長が楽しそうにTwitterのスペースやYouTubeで紹介する。その様子にああだから、私はここが好きなんだなあと思う。
誰かが熱烈に何かを好きでいる場所。それが集まる場所が塚口サンサン劇場なのだ。

 

また、マサラ上映や応援上映、スタンディング上映など、様々な方法で上映がされるからか、色んなジャンルのオタクたちが映画館には集まる。それもまた、見ていて楽しそうだなあとニコニコしてしまう。私自身は通常上映が一番肌に合うので、他のスタイルを楽しんだことはないけど、でもその「それぞれ」が成立することも嬉しい。


音響がダイレクトに響くシアター4はもちろん、落ち着く空間のシアター1-3も大好きだ。
大きな映画館ではかからない映画をひっそりとそこで楽しむ贅沢は、言葉にし尽くせないくらいだ。

 

私はそこにカップのコーヒーを買って、そっと端の席で映画を楽しむ。そうしていると、大きく息を吸えるような、そんな気がする。


また、映画終わり、時折起こる拍手も好きだ。この映画が面白かった、楽しかったと気持ちが滲む拍手が通常上映でも起きることがあって、私はそれも好きだ。うんうん、と頷きながら一緒に拍手をする。何より、友だちを連れて行った時「拍手が起こるんだ…!」と嬉しそうに目を丸くするのを見るのも好きだ。そうなんですそうなんです、素敵でしょう。

 

あの映画館で映画を観るたびに映画が好きで良かった、映画があって良かったと噛み締めながら、帰る。
映画ファンから作品のファン、役者のファンやご近所さんまで、誰もがフラットにそこにいて、映画を楽しむ。
ああ映画があって本当に良かった。