DVDを購入して、少し観て、これはじっくり観たいぞ、と思って時間を置き、観て、
そんでまた、PMC野郎さん好きの友人さんとご飯を食べつつ、もっかい観た。
不思議なお芝居だ。
観終わった後、うまくまず言葉にできない。
大きな山場もない。
友人と言っていたのは、何かの折に流していたいお芝居、ということだった。
流していたいお芝居なんだけど、でも、初めて観た時私はこれはじっくり観たいぞ、と思い、実際2回目も感想を言いつつではあったけど、断然、黙ってじっと見入ってる時間の方が長かったと思う。
あらすじはこんな感じ(公式サイトより)
これは、東京の下町で仲睦まじく暮らす、とある御家族の解体の物語である。
一風変わった性格の優しき父。商店街の草野球に命をかける長男。スピード狂でトラック野郎の次男。度重なる浪人生活で絶賛情緒不安定中の長女。全人類の神経を逆撫でするオシャマな三男。
彼らは母親不在の家庭を切り盛りしながら幸せに暮らしていたが、父のリストラを皮切りに発生した同時多発マネートラブルが、そんな幸せな日々を崩壊寸前に追い込んでいく!
やがて、トラブルに次ぐトラブルが物悲しき過去を暴き出したとき、御家族解体の時がやってくるのだった…。
演劇界の恥才・吹原幸太が人生で初めて書き上げた長篇作品にして、ブラックホームコメディーの傑作「ぽっぷん息子」が、11年の時を経て、まさか×2の大復活!
・・・この物語を観れば、あなたはきっと家族と話をしたくなる。
先述の通り、ものすごい盛り上がり、はない。
小さな山場がたくさん、小気味いい少し毒を含んだ会話で繋げられてやってくる印象。
相変わらずテンポや間はほんとに楽しい。
PMC野郎さんを初めて観たのは開運ポップン上映団のうちの犬はサイコロを振るのをやめた、だったんだけど
その頃から、空気感の魅力的な劇団さんだな、と思っていた。
劇団員間、あるいは劇団員とお客さんの、ということではなく(もちろん、それらだって魅力的ではあるんだけど)
お芝居の中で流れる空気が時々ビックリするくらいリアルなのだ。
で、今回も、それを改めて再確認した。
基本的に、特に前半は笑いっぱなしだ。
出てくる人たちはわりと(自業自得面も大いにあるんだけど)絶望的な状況に立たされてる。
立たされてるんだけど、可哀想じゃない。かと言って、いい人、だからという感覚もない。酷いことや、暴言もわりと吐く。
んだけど、彼らはとてつもなく愛おしい。
途中、前向きだから、という台詞があって、それがしっくりくる感じ。
どうしようもない状況にいても、絶望はしない、悲観もしない、笑っとけ!と言ってのける。絶望的な状況だろうがなんだろうが、彼らはただただ生活をする。さも当たり前みたいに。
空気感をつくる、を1番感じたのはラストの抱きしめるシーン。
言葉だけで聞いてると正直、私、この落ちわりと、納得いかないのだ。
いやいやいや許しちゃダメじゃない?!みたいな
受け入れられるか?!みたいな
それはある意味では粗、なのかもしれないし、
それをぶっ飛んでいいじゃん!という作品、なのかもしれない。
そこはまだちょっと消化できてないんだけど、
ただ、抱きしめるところを観て、何もかもを理屈では片付けられないかあとも思う。
家族が関係性の中で1番、とは言わないけど、
でもやっぱりある種特別な関係性で、理屈が入り込めないものが、血縁ってのにはあって。
それに縛られる必要はないけど、
切り捨てる・切り離すことはできないわけで。
理屈として、筋として、父や兄姉を許せるか、受け入れらるか、はうまく言葉にならないけど、
あの吹原さんとの抱擁を見ると、もう無条件でそうだよな、と思う。
思わせるこの人たちすごいなあ、としみじみもした。
お芝居の中での積み上げ以上に彼ら自身の持つものの積み上げな気もする。
そして、生身の人がその場で演じる(映像で観た、ではあるんだけど、収録を途中で止めたりはできないので、この表現を使いたい)お芝居だからこそ成立する話だな、とも思った。
大泣きしてスッキリ、とかただただ笑った!という作品ではないけど、
なんか少しくたびれた時とかにこのお芝居のことを思い出せるというのは、すごく心強い。なんだか、そんなことを終わった後ぼんやりと思った。