えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

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一年が経った。何からって、家を買ってからだ。




家を買った理由はここに書けること書けないこと、色々あるけど一つ大きな理由として「プリンセスメゾン」がある。


https://www.amazon.co.jp/dp/B00ZT6BRYS?ref_=cm_sw_r_mwn_ts_KBENB3683K9E7AA278RG



これは20代飲食店で決して高給取りではない沼ちゃんが家を買うまでの物語であり、家にまつわる様々な女性の物語だ。
私はその中で読んだ


「家を買うのは 大きい夢じゃない 自分以外の誰の心もいらないんだから」


という台詞に影響を受けて、ずっと自分で家を買うのが夢だった。



決して立派な家ではないけど、小さな小さな城に住んで1年が経った。
今年の振り返りは来月やるとして、とはいえ、もりだくさんな1年の中でなんとかやってこれたのは、この家のおかげもあるだろう。



自分ひとりの思い出もあれば、できれば人を招けるような生活がしたいと思っていたから色んな人が来てくれたし、そういうのが積み重なってるな、と思う。

生活が苦手だしそれは別に家を買おうが何しようが変わってない。どころか、人を家に呼ぶということは多少「生活を晒す」部分があって、1年試してみてやっぱり得意ではないな、と思ったので、今後、誰彼構わずは無理だな、と思ったわけだけど。
それはそれとして、自分の生活の手触りを知ったような気がするし、知ることは好きになる第一歩だと思う(思いたい)



更に言えば、住宅ローンというわりとしっかり重めの枷があるおかげで踏みとどまれたり逆に踏み出せた瞬間もあった。
そういうハード面でこの1年救われたし、いやでもやっぱりそれ以上に気持ちの意味で、ここが私には必要だった。





ここに帰ってくるのだと思った。




隠れ家というかシェルターみたいなものですね、といつか来た友人に言われた時にいやなんかそれは違うんすよ、と返したことがある。現実から守ってくれる空間というにはここには私の生活がありすぎてる。確かに構成されてるのはほぼ好きなものではあるけど、いまだに処理がわからない公的書類だとか仕事道具だとかその他諸々、気まずい気配はあちこちにあるからシェルターにはなりえないのだ。





ただ、眠れずにコンビニのコーヒー片手に歩いた場所だとか
好きなライブを見終わった後、興奮のまま歩いた道だとか
友人が泊まって起きた時の気配だとか
一人でうまくコーヒーを淹れて「ちゃんと生活できてる」と思えた日のことだとか
お気に入りを流しながら過ごしたほろ酔いの夜とか
そういえば、居心地の良い川だとか、そういう「自分の好きな景色」をようやく見つけられたのもこの家に来てからだっけ。




そういう好きが、ここには確かにたくさんあった。



私は、家を出て初めて「ここに帰ってきて良い場所」を得たのかもしれない。
今まで帰る場所は自分にとって好きな人たちがいる場所だからとやせ我慢混じりのことを思ってたけど、それはそれとして、ここは帰ってきて良い場所だ。自分で作った自分の家だ。



また1年よろしく。大切に愛せてるかは分からないけど、少なくとも重ねられるだけ、ここで重ねていけるようにちゃんと、頑張っていこう。