えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

赤福ひとつぶんのしあわせ

朝、起きないという贅沢を最近味わってる。予定を入れないという予定を立ててぽっかり空けた日。ひたすら寝る。目が覚めた時にもその曖昧な感覚を全力全神経で掴んで離さずに眠る。携帯もなるべく確認しない。


そんな風に自分の平日使い果たしたエネルギーを充電する。
自然と目が覚めた時間を確認したら昼前で「まあこの辺にしといたろ」なんて呟いて目を覚ます。


今日の予定は赤福を買うことだった。
ずっと食べたかった。ある日の仕事中、赤福って確か、一人分のやつもあるんだよな、と思い出してからはもうダメだった。ずっと赤福。脳内赤福。実は仕事中もこっそり調べて、記憶の中曖昧だった情報を確実なものに変え、どこだったら買えるかも確認済みだ。


日が落ちて、ぼんやり散歩をしながら店に向かう。耳元では、好きな音楽が流れている。
残念ながら、日暮れを待っていたせいで狙っていた赤福は売り切れていて、ええいままよと八個入りを買った。贅沢だと思う。だけど、そんな日があっても良いじゃないか。
店員さんに二個入りの赤福はいつも売り切れますか、と聞けば、今日何時に売り切れたかを確認してくれて「今度来る時、連絡くれたら避けとけるので」と笑ってくれた。なんだか、それもめちゃくちゃに嬉しかった。



帰り道、少し遠回りして、お気に入りの場所にマックでコーヒーを買って向かった。行儀が悪いなんて百も承知で外でぼんやり好きな景色を眺めながらコーヒーと赤福を味わう。
携帯を操作して明日のライブに向けて、聴き込んでる途中のアルバムを流す。



安心する場所を見つけられるようになったと思った。それはたぶん、自分でそういう場所が作れるようになったという話だと思うし、どういうのが好きで安心できるのかをようやく分かるようになったという話だと思うのだ。
ああ、良い日だったな。