えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

ANSWER… 大阪DAY2


※曲、演出バレがあります


ステージを作り上げる人なんだと思った。
登坂広臣さんのファーストソロツアー、「FULL MOON」でも冒頭映像演出があった。
物語仕立てで、ライブを始め随所にその映像を進めながらライブそのものを作り上げていく。
その作り込みも、私はすごく好きなのだ。


そんなことを、今回、ANSWER…のオープニングで考えていた。
それは最初にまた映像があったということもだけど、それだけではなくその後の楽曲たちのパフォーマンスがそれぞれその曲を"魅せるため"に作られているように感じたからだ。
特に恋愛の曲が多いおみさんの魅力を全部詰め込むように、恋愛を歌い表情や歌い方で表現する姿はとんでもなく美しかった。
また、シンプルな中で映像や階段を使い、まさに「作り込んだ」演出のように感じる。
登坂広臣さんの持つ「何を魅せたいか」の確固たる考えや、それを体現できる力にほぼほぼ最初は圧倒されていた。


プロデュースをしてみたい、と口にすることに物凄く納得するというか、この人がプロデュースして誰かをより輝かせる姿を見てみたいと心の底から思った。



おみさんが、何をどう見せようとしているのか。
なんというか、それを見せてくれるのが本当に楽しくて格好良くて、ああステージを作る人なのだ、と思っていた。



んですよ、前半。
だから結構冷静で「ああ格好いいな、そうだな、この人のこういうところが好きなんだよな」と思っていた。


それがだんだん変わってきだしたのはOVERDOSEくらいだった。
原曲に大きくアレンジを加えた演出に、頭が理解する前に涙が出た。
そして思い出した。
それこそ、最初の「FULL MOON」で思ったのだ。
おみさんの歌い方の自由さ、フレキシブルさ。
そのままその楽曲を歌うだけじゃなく、アレンジを加え歌い方を変え、歌う場所を変え。
音楽ってこんなに自由なの?と驚くと同時にそうすると聴こえ方がまるで違う曲のように感じること。


音楽って、誰がいつどんな状況で聴くかで全く別物になるのが本当に面白いと思っている。
そして、それは歌うひとでも変わるのだと思った。
その人が今、その曲で何かを伝えたいのか。それ次第で曲はいくつもの表情を見せてくれるのだ。
主題が何でも人が歌う以上、その人やその人の気持ちをいくらでも込められること。そしておみさんはそうして「歌うこと」で気持ちを伝えるのが、凄まじくうまいのだ。
言葉という明確に見えて実はすごく曖昧で難しいものじゃなく、音楽に感情を込めることでこの人は色んなものを伝えてくれるひとなのだ。


そんなことを思いながら、2年前のInstagramに投稿されたストーリーを思い出した。

「歌が唄いたい」

シンプルなその一言に込められていた気持ちに改めて、触れたような気がした。
その音楽に込められているものだけじゃなく、気持ち・感情を伝えるこのひとにとって唄えないということはどれくらいしんどいことだったんだろう。それを慮るというのは、とても品がないというか、失礼なことなのかもしれない。
だけど、私は今更、その怖さや理不尽さを想像してしまったし、改めてこの人が人前で思い切り唄えることに感謝した。



そして、そんな気持ちはステージが進むにつれ、強くなっていった。
観客である私たちへの愛を伝えるような構成のステージに心底驚いた。
でも、このステージが、舞台上から見える景色がどれくらい待ち侘びたものだったのかと思うと、そうかあ、とも思ったのだ。そして、心底思う。私も、私たちも、この光景が観たかった。



どうしようもない、許せない、人間にガッカリすることが多い中で
音楽で同じ時間を空間を共有することは、とんでもなく、大きな愛なのだ。



そう思えたのは、もしかしたら、このステージに立つことが苦しかったこともあったことをおみさんが口にしてくれたからかもしれない。
ただただ百点満点、一点も曇らず幸せだったわけじゃなく
むしろ苦しいこともたくさんある中で、それでもこの景色を、私たちを宝物だと言い切って笑ってくれたことにいまだに驚いてる。もしそうなんだとしたら、私も、それを大切にしたかった。歌い続けて良かったと思い続けられるように大切にしたいし、何より自分の人生を大切にしたいと思った。


これが答えです、と言い切ってくれたこの人を、ずっと大事にしたいし愛していたいと思ったので。



本当に幸せだった。嫌なことも多いんだけど、こういう瞬間が私は人生でものすごく、好きなのだ。


観たのがスタンド席だったので、会場中の青い光を観ることができたのも本当に嬉しかった。
この光が、あなたを傷付けることも残念ながらあるのかもしれない。そんなことを自分がしないことを願っているけど、過信は全く残念ながらできない。
だけど、それでもどうか一瞬でも長く多く、この光があなたの幸せに繋がりますように。
明日、次の瞬間、心底嫌なことがあっても大丈夫だと信じさせてもらえたことが嬉しくて、私はそんなことを祈っている。