えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

キネマの神様

はー生きるのが難しい。もはやここまでくると難しい!とライトに言って誤魔化したい。ちょうむじぃ。難関。はー大変。
テレビをつけようが街を歩こうが目を閉じようが「嫌なこと」が襲いかかってくるのはまあいいとして(何一つ良くないけど)それをまあでも乗り越えたらこれがあるから、という楽しみさえ遠いと、それはもう、まんま地獄というのではないだろうか。

はーたいへん!




ある男の物語を良いとも悪いとも言えず、困ったなあと苦笑いしていた。困った。面白かった!とも面白くなかった!とも言えない。いや、頑張ってどちらかに振り切ってその理由を書き連ねることはできるのかもしれないけど、なんだかそれはどんどんとズレていく行為なような気がしてならないのだ。

何より結局、思い出そうとすると笑ってる顔ばかり思い出すものだからなんというか結構、タチが悪いよな。


キネマの神様は、ある男の現在と過去が交錯する物語だ。
現在、男……ゴウはどうしようもない。アル中でギャンブル中毒だ。借金もある。結果、家族に迷惑をかける。
ざらりとした手触りの息苦しさがゴウの家族のもとにはあってその全てがゴウのせいではもちろんないけれど、まあ、でも結構な割合がゴウが原因である。
そんなゴウは、過去編では映画監督を志しながら撮影所で働く青年である。
良いやつなんだけどなんというかちょいちょいズルい片鱗はこの過去編でも随所に見える。なんかずるい。
何が一番ずるいって菅田将暉なんでそれはもうきらきらきて見えるんですよ。きらきらっていうか、いやきらきらなんだけど王子様!みたいなきらきらではなく、どちらかと言えば命そのものの輝きというか、なんかそんな感じ。
映画が好きで、面白い映画を撮りたくて、そんな姿が愛おしくて誰からも好かれる。


いやでもやっぱり、どっかずるい。


言葉を選ばずに言えば、なんとなくナルシストっていうか「自分に酔ってるのか?」と胸ぐら掴んでガクガクやりたくなる雰囲気があるし、
でもやっぱりそんな彼にひとは惹かれていくし、
はーーーーーーやってらんねえー!!!!!
って打ちながら気付いたんですけど、私花束みたいな恋をしたでも延々とやってらんねえー!って嫉妬のろくろを回していた。


正しくは菅田将暉に、ではなく坂元裕二作品に、なのでアレだけど、最近ちょっと自分のコンプレックスの塊っぷりに嫌気がさしちゃうな。はーちっちゃい。


ゴウの映画が好きなところも、それでもそこにしがみつききれなかったところも、
愛されるところも人が集まるところも
どうしようもなく好きで嫌いで愛おしい。


最近、フィクションでダメなひと、を見るたび、良いなあと思う。こういうひとがなんでもなく生きていける世界がいいよな。
あと、この映画の中でも描かれるけど、映画という限りなく現実ででも、どこかふわって飛んでいけるような世界がずっとあったらいいなと思う。もちろんそれを作ることはたまらなく苦しかったりしんどかったりするのかもしれないけど。
でも、逃げ込むように映画館に駆け込む姿にああわかるよ、と思ってしまったのだ。


結局、映画の最後に「お前それをやっちゃあおしまいだろ!」と盛大にズッコケ、おかげで良いも悪いも言えなくなってしまった。
とはいえ、それはそれとして、RADWIMPS feat 菅田将暉の「うたかた歌」はめちゃくちゃ良くて、やっぱりずりぃよーと叫んでしまった。


言葉で片付けられないような、ままならないこと全部含めて苦笑いするような、悪態つくような、でもそんなことを愛しちゃうようなどうしようもなさがあるな。


うたかた歌

うたかた歌