えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

悪ノ娘

悪ノ娘を、見に行った。

大好きなトクナガさんの作演出、それに淳さんや大野さん、竹石さんの出演とあっては、
わりと発表されてすぐ、チケット予約!とスケジュール帳に書き込んだ。
(特に、竹石さんがトクさん演出の舞台に立つことに最高にワクワクした。しあわせ)
そんなわけで、もうほぼ、反射神経で観に行くことを決めた(予約は安定の仕事の関係でギリギリだったけど)舞台。

ボーカロイドの通称悪ノシリーズの中の、悪ノ娘三部作を以前、X-QUESTさんで舞台化、さらに今回はミュージカル化した今作品。
ボーカロイドが流行りに流行った頃、ちょうど学生だったので、カラオケで流れれば口ずさめる程度に身近な曲たち。

そして、主演は元モーニング娘。田中れいなさん。
アフタートークの軽快な福岡弁に天真爛漫な口調、歌声、リリアンヌとして納得の風格と可愛らしさ。
まさしく、アイドルすげえ!と言いたくなるような素敵な女性。

なんてこともあり、今回は観に行くまでに思わぬところで悪ノ娘の話を見かけることになる。
ボーカロイドファンの友人や、アイドルファンの友人。
思いがけない相手のリツイートで、悪ノ娘の舞台についてのツイートを見たり。
となると、もう、謎のドキドキ。
いつも以上に色んな方が客席にいるんだな、どんな雰囲気なんだろう、と観劇直前までソワソワしまくる。
悪ノシリーズは、本当に人気があって、それこそ独自の世界観が確立されてる。
それにトクさんの台本が出逢ったらどうなるんだろう。生身の人間が演じると、どんな風になるんだろう。
と、もう、ソワソワがすごかった。
(もちろん、クエストさんで一度上演されてるんだし、普通にワクワクしてたらいいんだけど、なまじ、知ってる原作があると、なんか、なんか、ね!)

もうそれ杞憂だったなあ、と。

平日の昼間でも、たくさんの客席とか。
見終わったあと、終演後のロビーとか。
たぶん、客席に座った経緯はそれぞれバラバラの人たちがみんなそれぞれ楽しそうで、もう、ほんと、幸せでした。

お芝居としては、ともかく田中れいなさんの存在感!
すごい。
そして、プロローグのぶわー!!!って始まる感じが好きです。振付も素敵だし、アンサンブルキャストさん含めて作り出される始まるぞ!の、空気に冒頭からかなりワクワクする。
ともかく、どのキャストさんも楽しそうで、それがひたすらに楽しかった!
ときどき、声量とかで差が見えて聞き取り辛い台詞があったのは残念。。マイクがあったから尚更なのかなあ。

正直、ストーリーとしてはまだ半分くらいしか読み取れてない気がする。カタカナに弱いってのもあったけど。
悪ノ娘悪ノ召使い→リグレットメッセージ、への大筋の流れはすごく掴みやすかった。
壊れていく国と、民衆の怒りは赤の兵たちがすごく伝えてくれてて。

カエラの天真爛漫さは、リリアンヌとアレンの境遇を更に悲しく浮かび上がらせていたと思う。
カエラが可愛ければ可愛いほど、カイルやアレンが好きになればなるほど、リリアンヌの孤独さが浮かび上がる。
印象的だったのは、リリアンヌの独白。誰もが腫れ物に触るように、顔色を伺って、の台詞。

じゃあレオンハルト殺しちゃだめじゃーん!唯一、あなたにダメなことはダメって言ってた人じゃないのー?!!と悲しくなったり、でも、たぶん、レオンハルトの中にはこいつはダメだって前提での忠告だったから、受け取られなかったのかなあ。うーーーーん。

キールの冒頭の、曰く付きの宝の台詞を考えると、
リリアンヌたちについた悪魔、のことがもっと分かる気がして、もしDVDを見る機会があったら見返したい。

クラリスリリアンヌはある意味すごく似てたのかな。クラリスの一人台詞(世界に土下座させたいってやつ)すごく好きだったんだけど。
14歳で孤独に耐え続けていたリリアンヌと、自分ではどうにもならないことで差別され続けたクラリスと。
たぶん、ふたりとも怒りを持ちながら生きてたように思う。
そんな中、クラリスにはミカエラがいたから、本当には世界に復讐せずに済んで、
リリアンヌには、いなかったから、ああして、悪、になるしかなかったというか。

白ノ娘の曲の存在を見た後に知ったのもあって、まだちょっとこの辺りは自分では噛み砕けてない感じがする。
二時間に収めるにはかなり要素が多い物語なんだなあ、と改めて。ラストの本当に得したのは誰?の曲とか、ゾワっとしたし、待って待ってどういうこと?!!!ってなった。
二度三度見たらもう少し読み込めたかなあ。
ある意味では、消化不良感ではある。

お祭りだー!ってワクワク楽しんでたら終わってた!みたいな。もっかい歌詞読んだ上で見たい。でも、こうしてもっと、読み込みたい、と思ってるのは、好きだったからだなあ、と思う。

そんな中、
アレンとリリアンヌはある意味で、ひとりの人間だったのかな、と。
それぞれがそれぞれの悪の部分を担ってたというか。ひとりの人間っていうと、ちょっと乱暴だな。
曲の時からんん?ってなってたのが、なんでいくら双子の姉とはいえ、王女とはいえ、ただ言われるままにアレンは従ってたんだろう、ってので。この辺り、もしかしたら原作には解明があるのかもしんないけど。
なんとなく、全部リリアンヌのせいにしてるんじゃない?と感じていた。
それは、舞台で見ても途中あって、その中で、ラスト、交代するシーン。
アレンの、身代わりになって死ぬことでリリアンヌは自分のことを忘れられなくなるっていう台詞に、なんとなく、腑に落ちた気がした。
リリアンヌは、行動として自分の悪をアレンに押し付けていたけど、
アレンは気持ちとしての悪をリリアンヌに押し付けていたのかもしれない。
リリアンヌのせいだ、って思うことで自分の汚い感情に蓋をしてたのかな。

そう思うと、ラスト、悪ノ娘、として立ったリリアンヌの姿が格好良くて、愛おしかった。
改心とか、しちゃうのかな、とか。
そんなことを思ってたけど、違った。
言い訳もせず、自分を悪だと言い放って、それでもアレンが繋いだ命を生きるリリアンヌの格好良さったら!

悪魔のくだりとか、あと、ミカエラの最後の方の台詞とか、
ちゃんと分かってないところも多々あるとは思うんだけど、
私としては、最後のあのリリアンヌの格好良さが嬉しくて、アレンとリリアンヌの関係が愛おしくて、すごくスッキリした終わりでした。
でもやっぱりもっと見落としてるとこ知りたいから、うん、やっぱりDVDは買わねばだな!