えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

7つの流星を追いかけて

真っ白な空間に、色んな映像が映し出される。時に動くそれは、まるで宇宙に彼らがいるみたいだった。羽が映し出されて、空になって。
時間も場所も越えて存在するような彼らが笑って歌い、踊る。
そんな中、おみさんが口にした「全国の皆さん」という言葉を噛み締める。


オンラインライブ、という形でのライブが7月から始まり
最近ではすっかりチケットの購入や見方も慣れたものになった。
それでも、昨日はなんだか、「オンラインライブ」なんてことを忘れていた。
まるで、METROPOLIZの中で描かれたあの亜空間みたいだな。
当然それぞれ、違う場所にいるんだけど繋がっていく。皆さん、と呼びかけられた私たちは、同じ、地続きの場所にいるんじゃないか。そんなことを、わりと本気で思っていた。


それは、きっとセットリストや演出にも大きな要因がある。
デビュー曲であるBest Friend's Girlから始まり、まるで今までの彼らの軌跡を辿るような曲たち。階段一段一段をあがっていくように、彼らの歩みを映像として挟みながら、歌とダンスでパフォーマンスを魅せていく。


好きになったのは、ハイローきっかけで、でも「三代目J Soul Brothers」を好きになったタイミングや理由はしっかりと覚えていない。



三代目の楽曲は、それこそハマる前から知っていた。R.Y.U.S.E.Iをはじめ、花火やC.O.S.M.O.S、FIGHTERSなど有線で何度も流れるその曲たちを私は、ハマる前からなんとなく口ずさめる程度に聞いていた。好きだとか嫌いだとかではなく、ただただ「人気のある曲」として。
それはライブ中流れた映像で口にされた「みんなが歌える曲」ということだった。
最近ハマった私にとって三代目は最初から「人気のあるグループ」であり、言い方を恐れず言うなら「成功者」の人たちだった。



そんな彼らの曲が変わって聴こえ出したのは好きになってすぐくらいだったな、とライブ中思い出していた。一段一段彼らの活動を振り返る時間を過ごすうち、自分にとってのこの数年、三代目と一緒にいた時間が蘇った。


人気者だと思っていた。順調に、幸せに歌っている人気グループ。
だけど、そのパフォーマンスや歌はいつもなんか、拳を突き上げてるというか、「ここにいる」ってめちゃくちゃ言ってるような気がして自然と繰り返し聴いていた。負けるか、と思う時、自然と三代目の曲で作ったプレイリストを再生した。


当たり前だけど「人気グループ」にも顔があって、そこにいる人は一人ひとり、生きている人だ。
成功だって、もがいてあがいて手を入れたそれだしヒットしたからこその越えることになった壁もある。
起承転結が綺麗についた物語なんかじゃなく、先が約束されたものなんて何一つなくて、その中で一歩一歩、歩いてきたからこそ、辿り着いたんだよなあ、と思ったら無性に泣いてしまった。



そんな彼らが10年。10年、生きて、歌って踊ってきたったもう、なんかすげえことだな。
生きてんな。




今年、10周年ということで、三代目の皆さんが年明けの頃、口にしていたインタビューで印象的なものがある。

「自分たちの目指すエンターテインメントはなにか」という問いに対して「KING OF J-POP」……「王道であること」を目指すという。

三代目らしい音楽、細かな音楽ジャンルではなく「三代目のポップス」を目指す。
昨日のオンラインライブは、まさしくそんな彼らの姿を表していたような気がする。
格好良くて、触れやすく、それでいて「三代目だからこそ」できるパフォーマンス。


そこにいるのは、人気グループ、という分かりやすいラベリングをも自分たちのものにしてその上で、「三代目J Soul Brothers」だと名乗りを上げる、そんな姿に見えたのは好きの贔屓目だろうか。

もう一度いいグループだと思わせられるような、そんなライブをやる、と口にした岩田剛典さんの言葉を噛み締めている。なんか、本当に、あ、私が好きなのはこの7人が作ってきた時間で、場所なんだな、と心の底から思った。



目に見えるストーリーは順風満帆な、美しくシンプルな話だ。だけど、きっとそのあちこちに色んな人と出逢ってぶつかって、歩き続けた7人がいる。
本当に、心から10周年おめでとうございます。これからも、少しでも長くこの素敵なエンターテインメントを楽しめますように。