えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

待ちわびていた旅の続きへ、あるいはずっと続いていた旅について

新しいエンターテイメントの形LIVE×ONLINE、果たしてどうなるだろうとその発表を聞いてからそわそわしていた。
今、この状況下ではなかなか生のエンターテインメントというのは難しい。もちろん、徐々に戻ってはきている。LDHも、まだ時期は未定ながらソーシャルディスタンスライブの計画を発表している。
だからこそ、LIVE×ONLINEという新しい形はなるほどな、と思った。

 


が、それはある意味で思い違いだったんじゃないか、と気付かされる。
代替えなんかではない。もちろん、直接同じ空間を共有してのライブは恋しい。私たちも、彼らも。
だけど、このLIVE×ONLINEは単なる「できないから代わりに」やってるわけではない。そんなのはあくまで一つの側面でしかない。
そう、EXILE THE SECONDさんのLIVE×ONLINEを「浴びながら」思った。
どうしようもなく、生だった。映像技術をはじめ、彼らが持ちうる全てを駆使してのエンターテインメントは私たちが待ちわびてきたものだった。

 


冒頭、それぞれの「ルート」を紹介しながら最高に格好良いサウンドと共に登場するメンバー。もうこの時点でテンションがブチ上がってしまう。
と同時に彼らの多彩さというか、個性の豊かさ、持ち札の多さに痺れる。
思えば、ROUTE6.6に行く予習として見せてもらったWWWでそんなところに興味を持ったんだっけな、とニヤニヤした。
歌もパフォーマンスも最高に格好良い上に、幅が広い、分厚い。そしてそのメンバーが揃ってびしっと色っぽく大人なサウンドとパフォーマンスをぶちかましてくれるのだ。

 

瞬間エターナルは発表当時からめちゃくちゃにかっけーな!と思っていたわけだけど「ライブパフォーマンス」として彼らがかましてくるとまた一味も二味も味わいが増していく。
「待ちわびていた旅の続きへ」という一言に、ああそうだよ、とフラッグを持つ手に力が篭った。ずっとずっと、セカンドさんたちのライブが、旅が恋しかった。

 

 

セカンドさんの楽曲たちの踊る明るくて格好良さが好きだ。
お洒落で大人っぽくて同時にたくさんの「楽しい」を歌ってくれる。めちゃくちゃに熱いというよりかはスマートで、だけど冷めてるわけではなくてその根っこに裏打ちされた情熱があって、
人生のうまくいかない瞬間もまあそうだよね、って言いながら、蹴飛ばして楽しんでいく、そこからどんどんハッピーへと進んでいくようで、聴いてるだけで元気が出てくる。

そんなことをお馴染みのサウンドに身体を揺らしながら思う。最高に楽しい。それは、やっぱり「ライブ」なのだ。

 


今回、掲げられているテーマの一つには「幻想」があるのだろう。
タイムラインを軒並み絶叫へと突き落としたTop Downはもちろん、途中導入でもたびたび「幻想」というキーワードが飛び出し、パフォーマンスにも人外を思わせる演出が組み込まれていた。
(本当にパフォーマンスもビジュアルも最強すぎて「人外」がめちゃくちゃに似合うの本当にすごいよ…LDH、本当にびっくりするくらい人外の造形が最高すぎる…なぜなの……)
例に漏れず、私も最高にそんな人外演出に悲鳴を(近所迷惑にならない程度に)上げ続けた。


それから二回目を観て、「幻想に浸ろう」というメッセージに呻いてしまった。
もちろん、格好良いからこそというコンセプトだと思う。何より、今回のLIVE×ONLINEの全体構成はもともとのツアーをベースにしているらしいので、それはそもそも計画されていたものなんだろう、感傷的な見方だな、とは思う。
思うのだけど、やっぱり、このタイミングで観る中で「幻想に浸ろう」という言葉を考えてしまう。

 

最近読んでいた「金魚屋古書店」という漫画の中で見た漫画を読む理由の一つが私の頭に残ってるからというのも、あるのだろうけど。

 

幻想は何のためにあるんだろう。
花鳥風月の夢のように美しいその映像を見ながら思う。
ままならない、自分たちの好きなものが近くにない、どうなるか分からない先の見えない現状。そこからの「逃避」だなんて言葉で片付けるのはあまりに雑じゃないだろうか。

美しい幻想に、力強く艶やかなその世界に浸るその時間は単なる逃避なんかじゃない。そうして弾んだ心は確かに、現実に続いてる。

 

Celebrationとstoryの演出が中でも好きなんだけど、あの2曲、見れば見るほどに「見方を変えると世界が変わる」という話な気がする。

 


Celebrationの別れ、から2人の時間をなぞって、もう一度別れ、に戻るの、本当に凄まじいな、と思う。
し、この演出はある意味で、オンラインで映像で見せるからこそ効果的なんだと思うんだ。
どの角度、どのタイミングで、どう見せるかで全然意味合い変わるじゃないですか、こんな繊細なストーリーごりごりにパフォーマンスと歌声で見せてくれるの本当に凄まじい…。

そして、そこからの最初のカットに戻った時に、確かに観客の私たちの見えるものは変わってるんですよ…なんなら、ジャケット脱いだ時点で頼むからその手に触れないでくれ、いや、触れても良いから抱き寄せてくれ、みたいな苦しさに襲われるっていう…いやもうこれはえげつないですよ……。

 

 

そんな「見る側」の変化を堪能した後に叩き込まれるStoryですよ…。
もう、この、全体構成を考えた人、すごい。容赦ない。

 


パフォーマンス(映像含め)の流れもすごいんですけど、やっぱりこれは間の黒木さんと女性ダンサーさんのパフォーマンスが物語をどんどん分厚くしてくるじゃないですか…。
朗読や振り付けのお芝居感もさることながら激しく踊る中で彼の中の激情が視覚化されて、もう釘付けになってしまう。
し、それが照明と映像演出で視覚的な色まで巻き込んでいくからもう、あの一曲だけでこちらは映画を一本観たような気持ちになってしまう。
ふたりの時間にフォーカスを当てたCelebrationのあとに彼の心情(そして彼女の心情も)にフォーカスをあてたパフォーマンスがやってくるStoryなのも、とても面白い。
それは、ある意味で、ラストのどう捉えるか、どう考えるかでまるっきり世界が「ひっくり返る」というこのパフォーマンスにぴったりだ。

 


そして、その世界が、鮮やかに変わっていく光景を見ながら思う。見え方で、こんなにも世界が変わるというのは、とんでもなく優しくて力強いメッセージじゃないだろうか。
そう思うのは「諦めない」と繰り返し語られるメッセージも相まってなのかもしれない。
それから、「待ちわびまできた旅の続き」と書いたけど、彼らはずっと旅をし続けてるんだな、とも。
それはやっぱり格好良くて楽しそうで、大好きだと思う。

 

映像や、細やかな演出、視覚が指定されるからこそ見せられる表現。
それは、どれも最高に格好良くてワクワクした。

 


直接会えないということももみくちゃになりながらライブを楽しめないということも飛び越えて、楽しいを全力で届けてくれた。
それはある意味で、セカンドさんの楽曲たちを思い出すような時間だった。うまくいかないことに肩を竦めて蹴飛ばして、それからどんどん楽しいへと裏返していくのだ、きっとこの人たちは。

LIVE×ONLINEはこれからもっともっと色んな表現を、見せてくれるんだろう。彼らもそんな可能性にワクワクしているような、そんな気がする。

 


旅はずっと続いてる。だとしたら、どんどん変化していく彼らが楽しみで仕方ない。だってこの期間の変化はあまりに最高だったのだ。
また、旅の先で格好良い彼らに会うのが楽しみだな。