えす、えぬ、てぃ

お芝居の感想など

ザワ初見時感想:楓士雄くんにタイマンでボコボコに負けた話


救われても良いんじゃないのってことなのかもしれない。

 

楓士雄くんを見てて、そんな、と思った。
どうあっても彼は「主人公」で「持っている」「愛される人」だった。
メタとしての発言をするならテンポ的にもストーリーを尺的に考えても、楓士雄くんにこれ以上のエピソードとしての説得力を持たせる必要はない、たしかに描いたら説得力は増すけど、そんなの無くても多分、演者である川村くん自身の持つ魅力も含めて、彼についていきたい、と思わせる説得力は画面中にあふれていた。
し、それは何も役者による補強なんて話でも無くて、例えば鳳仙とやりあった後に「お前が本当の相手じゃなかったことが分かっただけで充分だ」と笑うふたり、とかさっちーにしろ楓士雄くんにしろそれだけで「頭を張る」素質を見せつけて、納得させてくれてるんですよ。


かつ、ザワオでのじいちゃんとの別れもあるし、そもそも、誠司くんも口にした通り、知りもしないで、なんですよ
彼が何を見て、聞いてその上でああして笑ってるか知りもしないで、なんだけど

 


あの、ちゅんちゅん組が、下につくって言った時、ものすごくマジか、と思ってしまった。
それは信じらんねえってことでは無く、むしろ圧倒的に納得していた上で、しんっっっっど、と呻きそうになっていた。
王になるべくしてなる人だ、とめちゃくちゃに納得した上で、息を詰めてた。

 


それを、持たない人はどうすりゃ良いんだよ、とすっげーーーーーーーしんどかったんだと思う。

 


終わった直後、映画館出た後も、ツイッターでも動揺してしまうくらい、しんどかった。
持ってる人だった。
彼のこれまでを知らない上に、そうして他人を羨むことはお門違いでみっともないことだと分かってても、彼があまりにも眩しくて、じゃあそうじゃないならどうすれば良いんだよ、と苦しかった。

 


いやもうこの感想書きながらますます自分が嫌いになってきたな。


楓士雄くんは目を逸らさない人だったし、村山サンの言う通り、彼よりも強い轟がそれでも持っていないもの、を持ってる。
ザワオでじいちゃんが言っていた仲間の意味も分かってる。
実質、映画スタート時からレベル100みたいなもんですよ、楓士雄くん。


新太くんは大切な人の為にお金が欲しかったわけですが、
私もちょうど今、大きく事情は違えど、もし悪いことして助けられるなら助けたい、と思うことがあって
でもなんか、それっていっそ助かりたくもないことなのかもな、とふと思った。
新太くんのこれまでとかを、これもまた知らないけど、想像して、それからレッドラムを作るに至った経緯を思うと、助かりたくもないよ、終わってしまえよ、って思うなあ、と間違った方に共感してしまった。
だから、あの時、助けに来られた新太くんが、ぐしゃぐしゃの色んな意味で汚いお金を集めていて泣いてしまった。
助かりたくなんてないよな、とめちゃくちゃ泣いて、泣きながらそれでも楓士雄くんは正しいよ、ってめっちゃ泣いて
正しくて良いんですよ、そりゃ楓士雄くんだってチャリパクったりしたけど、それでもだからって「正しいことを言ってはいけない」わけがなくて、その都度、正しいことをしようとする、がハイローなんだよ。
琥珀さんやコブラちゃんが言った通り、何度だって間違えても生きていかなきゃいけないし、そうやってその度に正解を必死に探すしかないんだから。


our promiseであったとおり、勝てない戦いも叶わない夢もある。それでも、進むしかない。

 


あと、あの、その上でオロチ兄弟めちゃくちゃ優しいよね……叩きのめさないでいてくれてありがとう。そして、あのポジションに「大人」を置いてくれてありがとう、HIROさん……
あそこで、思い切り泣くことができた新太と、その彼を見る楓士雄くんの表情が愛おしくてめちゃくちゃに沁みてしまった。
どうしようもなくて、そのままどうしようもない、失くしていく不器用なひとたちを描いてきたハイローが、ああして、間に合う人を描く優しさに、ふとこうして感想を書きながら気付いた。うう……そうか、優しいな……。


正しさでぶん殴り通してないんですよ、ザワ。
圧倒的太陽に当てられて死にかけてたんですけど、でも、たしかにぶん殴り通してはないんです。

 


つまんねえ大人なんだなあって自分にガッカリしながら悲しくてめちゃくちゃ泣いてたんですけどね、
なんか、楓士雄くんや鳳仙のみんながあまりに軽やかにそうして立ち尽くしてる横を軽やかに走り抜けるからさあ……も、鈴蘭の話する時も、最後のタイマンも、こっちの感傷や苦さなんて御構い無しで楽しそうで、それにもまたベソベソに泣いてたんですよ。
軽やかに走り抜けられる子どもではなくなったのに、そのくせ、そうして走っていく子どもたちが走り続けられるように道を守る大人にすらなれてないから私はめちゃくちゃに、しんどかったのかもな。

 


それでも、新太の投げ出したいって痛みも理解して止めてくれるオロチ兄弟や理不尽どうこうじゃねえんだよ、というパルコの姿とか、
あと、コブラちゃんに電話する村山サンとか


あの、あそこで今度話聞いてよ、と言えた村山さんが優しくて愛おしくて、例えばもうSWORDは第一線バリバリでやることはなくても、彼らは彼らとして大人だからできること、をいくらでもやっていくんだろうし
それは子どもと形は違うけど、それで良いんだって話なのかもしれなかった。


なんだ……すげえ優しいじゃん、ハイロー。

 


轟くんが、いじめられてて、それからクソみたいな不良を叩きのめす、でここまできて、村山サンと出会って、という経緯を考えると
頭になんかなれっこないよな、、と思う反面、
それでも彼だってさ、とめそめそしてたけど
最後、ああして楓士雄くんの手を取るのが優しくて、そうか、彼はようやく友達、ができたのか、と思ったし
そのシーンはあの関ちゃんの背中の上でキラキラと舞い降る紙を見る村山サンに似ていた。
鬼邪高は自ら入学して、自分でゴールを…というかつぎの道を見つけるまでのそのまま「モラトリアム」の世界なんだけど、
そこを出る条件は次の道を見つけることと、それから仲間を見つけることなんだな。

 


これはもう、完全にザワで死ぬほど苦しくて自分を嫌になったことを慰めるつもりで書くけど、
あれだけ太陽な主人公がいる中で大人が格好良くて、間違えてもやり直せるってやっぱり描いてくれてるんだから、救われてもいいんじゃないのっていうか、最後、頭下げてから、大人というこれまでとは違う手段を選んだ村山サンたちが最高に格好良かったんだから、そういうことだろうよ、気合い入れてけ、と思う。

 


ザワ、私にとってタイマンだったのか?って終わった後めちゃくちゃグッタリしてたけど、そしてだとしたら完封負けなんですけど、
それでもやっぱりハイローは最高だったし、いつか、胸を張って楓士雄くんにそのまま進め!って言いたい。
同じように眩しくは過ごせないかもしれないけど、大人だって悪くねえぞって思ってるから、そのままに私なりの方法で歩きたいな……。
とりあえず、放映期間中にあと何回かタイマン申し込みに行こうと思います。