えす、えぬ、てぃ

お芝居の感想など

ウォークマンの中のヒーローが暴れまわった日の備忘録

どんな気持ちになるんだろうってはじまる直前まで思ってた。どんな気持ちなんだろう。誰かに怒られるんじゃないか、ファンじゃないくせに、とかファンのくせに、とか、兎にも角にも、そんなことを、ただただ考えてた。

お前はいつもそうかーい!
だけど、楽しんで!って言ってもらえて、選んだのに楽しめないの最低じゃん!って思って、テンション上げて日焼けしまくったら、ELLEGARDENのライブが本当に最高だった、という日記です。

たまたま、アニメのファン動画で出会ったバンドだった。歌詞がアニメにも、そして高校卒業直前だった自分にもどんぴしゃで、演奏してるのがELLEGARDENってバンドで、虹って曲だと念じるみたいにして覚えた。
そっから、どうやら姉や弟も好きだって知って家にあったCDを片っ端からウォークマンにいれた。浪人時代のお供だったウォークマンが時々流すたび、画面を見て、珍しく曲名を覚えたりして。

しかし、気が付けばELLEGARDENは活動を休止していた。しっかりと追いかけ出す前に。だけどそんなことにも構わず、私のウォークマンELLEGARDENを流し続ける。

だから私にとってELLEGARDENウォークマンの中のバンドだった。顔も見たことなかった。ただただ、彼等の音楽をずっと聞いていた。シャッフルで漫然と音楽を流すときも、彼等の音楽の時はボタンを押す指が止まった。
そんな、ウォークマンの中のヒーローが、実在した。

ワンオクのたかさんが、目を潤ませながらその瞬間で生き抜いちゃうみたいに声張り上げて暴れ回ってるのを見て、彼らのヒーローっぷりに思いを馳せた。
私の大好きなお芝居についての言葉で、たった一人のために作ったお芝居だからこそ多くの人に届くってのがあって、あの時のワンオクの演奏はまさしくそれだった。ただただ、ELLEGARDENに捧げられていた。あなたたちにどれだけ憧れて、もしかしたら嫉妬したり、励まされたり、そうやってここまで走り抜けて、奇跡のようなステージに立ったバンド少年たちの演奏だった。あああそこは、彼らの夢のステージだ、と問答無用で思った。
ワンオクも、高校時代、ぶすくれながら部活へ向かう車の中、かかっていたラジオで、中指立てるみたいに叫んでる歌だな、と出逢ったバンドだった。あー最高じゃん、歌ってくれよ、って思えてしゃーねえじゃあ部活行こ、と思わせてくれたバンドだった。そんなかっけーバンドが、子どもみたいな顔をして、私たちのヒーローに、ロックスターに歌い続けてくれ、って叫んでる。

それが、だんだん暮れていく空と相まって、出来すぎた映画みたいで、最早笑っちゃいそうになりながら、腕を振り上げていた。

座席が、スタンドの前の方だったので未だかつてないほど近くて、そしてアリーナも2階席、3階席も見渡せて、ああ愛じゃん!って叫んでた。みんな待ってたんだ、あの、すげえバンドのこと、そんなことをふくふくとした幸せの中、思っていた。

ら、もう、1曲目、1音目、ぶん殴られた。
何度も何度も、ウォークマンから流れてきた曲だった、音だった。まるで、アニメの中のヒーローみたいに、存在してるのにどこか幻みたいなヒーローが、目の前で、歌っていた。
そっからは、泣きっぱなしだった。だって、大好きな曲たちが次から次へとやってくるのだ。しかも、それを、とんでもなく幸せだって顔したヒーローが歌ってるのだ。
だいぶ前の失恋した時より、よっぽど泣いた。
ああ私は、好きなものや幸せの方が泣くんだなってしみじみ思った。

本当に、私はこの特別で奇跡みたいなライブに行っていいのかって思ってて、選んで良かったのか、とも思ってた。
やっぱり、それくらいの好きなら来んなよって言葉も聞いたし、じゃあ、私は胸張ってその人たちに好きって言えるかというか、いやそもそも好きって胸張るってなんだよ何曲曲名答えられるか選手権かよ曲名覚えんの苦手なんだよごめんなさいみたいなことを、ずっと、考えていたんだけど。

そんなん全部置いてくくらい、ずっと泣いててあーーーーーー私はこの曲たちが好きだーーーーーって思った。そして、細美さんがMCでたまたまラジオとかCDで聞いててようやく今日ここに来れた、ここにいる半数くらいの初めましての皆さん、俺たちがELLEGARDENです、以後お見知り置きを、って言ってくれて、あーそうか、私も来てよかったのか、好きなんです、すげえ詳しかったり何曲も歌えるわけでもないけどそれでもあなたたちは私の中でヒーローのバンドだったんです、って叫びたかった。

ヒーローがたくさんいる世の中すぎる、私にとって。ヒーローは、そのまま、好きな人たちってことなんですけど。私の毎日、八百万の神さまならぬ、八百万のヒーローに支えられてんだよ。

ツイートを見てくれる人たちには、ご存知の通り。私の行動模範は、好きなエンタメを作り出す人たちです。彼らが言う言葉や示す態度をかっけー、と思いながら、自分を振り返って軌道修正してる毎日です。
そうなると、とんでもない人たちに思えてヒーローでしかなくて、カッケーとこしか見えなくなる。情けなくてもそれ含めて、なんて言えてしまう。
それは、偶像崇拝なのではないか、と時々問いかける。誰かの神格化はとんでもなくその人と自分を突き放すもので、それは、なんか、相手の立場を考えた時にしたくないなあと思う。どんな表現でも目の前の人に届けようとしてるのに、受け取る私が勝手に高いところへと追いやるのは違うだろって。えてして、そうして勝手に高いところへと追いやってしまうとその後に残るのは勝手なガッカリ感だと思ってるからかもしれない。勝手にあげて、勝手に落とす。それだけは、したくなかった。つーか、そもそも、ファンの理想のその人でいることなんて、その人たちの仕事じゃないんだよ。彼らの仕事は最高のエンタメを作ることなんだよ。
今年の春に舞台を観て、ああ私は何してるんだろうと思った。感想を書くことや毎日必死に生きることが私にとっての返事だって言い聞かせてたけど、それがなんだよ、意味ねえよ一人相撲じゃんって思った。思って、思ったから、じゃあ人生が私の舞台です、死んだ瞬間拍手してもらえるような頑張ったねいい人生だったって言われる毎日にしたくて、しかし、それは、なんか、ちょっと違ってて、えーじゃあ、どうすんねん、みたいな。
2018年は、ともかく、たくさんあって上半期を終えたのだ。好きな人達が舞台を降りたり、劇団を辞めたり、いなくなったり、そうだ、好きな役者さんが亡くなって途方にも暮れた。そうなってくると、え、じゃあ、良かったって言われる人生ってなんだよ、なんて、自暴自棄になりたくもなるんだけど。だって、大切なものは増えていく一方なのに、手が二本しかないポンコツっぷりで、どんどん零れ落ちるんだもの。増えていく幸せ以上に。そんなのは、さすがに、神様の設計ミスでしょ。
とかさあ、思ってたんだけど、

いーや、もう、どうでもよくね、って思ったよ。
こんな話をしたのは、細美さんが今日だけロックスターでいていい?って言ってたからなんですよ。だって、ロックスターでしょ、ELLEGARDEN。私たちにとっても、私たちの好きなバンドにとっても。
物販の話題の時点で、あんまり彼らの思ってる彼等像と私たちの中の像は近くないのかもね、なんて言ってたけど、ほんとに、そうなのかもしれなかった。ひとりの人として、ヒーローたちは歌って、演奏してきてくれたのかもしれなかった。

その距離感で、幸せだっておもって、それは彼等の特別な能力なんてものじゃなくてもっとシンプルな何かだった。
そして、私はそれが好きだった。ウォークマンの中で暴れ回ってた彼等の音楽はその結晶だったんだと思う。

とんでもなく幸せでずっと泣いてて、あーこの曲もその曲も好きだって思って
それをあの人たちが何より嬉しそうに演奏してくれてることが嬉しくて、
もう、なら、その心を信じろよ。
お前は何べん言うんだって言われそうだけど、書きながらも思ってるけど、違うんだよ、私はなんべんだってヒーローに殴られたいんだよ。助けられる町の人じゃなかった、私は。倒されるの待ちの怪人だった。そうして、退治されてまじかよ、と思いながら私は少しヒーローに近付きたくて少しでも良い人になりたくて、彼らの真似をしてるのだ。
そんなことを信じてしまうくらい、ウォークマンの中のヒーローが実在する衝撃はすさまじかった。
それを幸せだと笑ってくれる姿を見れたことが、嬉しかった。


今日が最高って思っててもきっとそれは更新されていくから、と言ってくれたことに、明日もじゃあ笑って過ごそうと思った。


積み重ねていった思い出が音を立てて崩れ落ちようが、今日を記憶に変えていけるなら。
かっけーひとたちが、この景色を見れて良かったって笑ってくれるなら私はこれからもたくさん頑張って好きな場所に行こうと思った。
そして、それはできたら、いつか、身近な誰かのヒーローになれる私に繋がってる道ならいいと思ったのだ。だって、私のヒーローが私たちの姿を見てあんな幸せそうな顔をしたんだから。いつか、そんな奇跡だって起きるかもしれないじゃないか。