えす、えぬ、てぃ

好きなものの話をしよう

ナイトヒーロー

ナイトヒーローを観終わった。
NAOTOさんが、NAOTOさん役として、しかも実は裏の顔があってそれは悪と戦うソウルマンなのだ!という、ヒーロー大好き人間には最高!と叫びたくなるようなあらすじに、ワクワクして観た。

観て、それはもう、毎話毎話完全にノックアウトされた。しんどすぎて、ビックリするくらい観終わるまでに時間がかかった。


ヒーローに憧れるNAOTOさんはある日たまたま暴行される人を素顔を隠しながら助けたところを栞に見られ、それどころか映像まで掴まれ、これをメディアに露出されたくなかったらソウルマンとして自分と協力しながら悪と戦ってほしい、という。
最初は嫌々協力していたNAOTOさんだったが、みたいなそういうストーリー。


そもそも。
悪ってのが漠然としてて、DV男とか、ヤクの売人とか人身売買とか、悪といえば間違いなく悪だ。だけど、作中も言ってたけど、それは警察とかが対峙するべき悪なのでは?というか。
それに対して、暴力で対抗したところで相手が悪だという事実は変わらなくても、こちらが正義だ、という事実は生まれない。
それはあくまで「ソウルマン」側の都合なわけで。圧倒的にそれが支持されようがされまいが、その事実は変わらない。ただの暴力だ。

それを、正義だ、といい続けられる栞に初めは疑問しか浮かばない。どころか、後味が毎回絶妙に悪いので、不安しかよぎらなかった。
いやこれ絶対、正義じゃないよって。
そんな簡単に、テレビの中みたいに勧善懲悪的な、こっからこっちが悪です正義です、みたいな線引きできるはずがないのだ。

そして、もう一つ不安で仕方なかったのはNAOTOさんがNAOTOさん、という役であることだ。
このへん、主題歌のPART TIME HEROがずるい。
マスクをとってもヒーロー。
いやもう!ほんと、そうなんですよ。
エンタメを初めとする全てをヒーローと思ってる私は尚のこと、そうなんですよ!!!!!!ってこの歌詞を聞くたび叫びそうになる。
目の前の悪事を例えば解決できなかったとして、NAOTOさんを初めとするパフォーマーのパフォーマンスに、舞台に、作品に見ず知らずの、それこそ助けてっていえないままの人たちがたくさん救われて元気付けられて、それはもう、ヒーローじゃないですか。

マスクをとってもヒーローっていうか、マスクも暴力もなくても、ヒーローですからね。

そして、ソウルマンとして活動するってことはそのヒーローからどんどん遠のいていくっていうことだからね。
1話の直己さんの台詞が印象的だ。

何かあったら、今の立場はなくなる。
気をつけなきゃ。

その1話からの怒涛のソウルマンとしての活躍ですよ。胃も痛むってもんですよ。
時々、格好いいアクションや、だんだん強くなっていくソウルマンにあれ、いやでもやっぱりソウルマンはヒーローなんでは?そう思いたくなる。そういうことでいいんでは、そう、思おうとするたび、絶妙なタイミングであくまで、ソウルマンを正義とするのは栞側の主張だ、と現実に引き戻してくるエピソードを入れてくる。暴力はあかん!って叫ぶラストシーンとか、呻くしかなかった。そうだよね、わかってる、わかってるよ。。

そうしていく中で浮かび上がるトカゲ、という裏組織。
そして、栞の本当の目的。
殺された父親の復讐。
トカゲを誘き出すための、ソウルマン計画。


ストン、と腑に落ちた。
ソウルマンが正義じゃないことなんて、とっくの昔に栞は分かっていたのだ。
というより、正義なんてどこにもなくてそんなのを待ってても誰も助けてくれないって心底絶望したからこそ、ゴミクズ同然だって投げ打ってでもソウルマンの計画を実行したのだ。

なんか、栞のあの手紙があまりに心に響きすぎて苦しくてジムで自転車漕ぎながらこっそり泣いた。
ヒーローなんて、いやしないと思った栞が、NAOTOさんをヒーロー、と呼んだこと。
警察も助けてくれなくて、復讐しか考えてなかった彼女の目に、迷ってでも怯えてでも「悪」に立ち向かうソウルマンがどう見てたか想像する。
本当に悪なのか、という問いかけはある意味で泣いてる人にとってはどうでもよくて、それどころじゃなくて、助けてほしいっていうその一心で。
その手を離されて、もう掴む人なんていないって思っていた栞がNAOTOさんと出逢えて良かった。
そして、その栞にそれでも、暴力じゃダメだ、と言えるNAOTOさんで良かった。

正直、EXILE辞めます、のシーンはめちゃくちゃ複雑だった。いやもうだって、マスクをとってもヒーロー、なんだから。そのヒーローを辞めるっていうんだから。

でも、片岡直人さんとして、助けて、といった友人を助けること。
なんか、ヒーローってそういうもんなのかもな、とも思う。
みんなの正義のヒーローでいることで、自分の大切なものを護れないなんて、そういうことの方が残酷だし。
栞との関係性もすごく、いい描かれ方をしてたと思う。
恋愛関係として、というより本当にバディとしての描かれ方だったというか。所謂、椅子の男(栞ちゃんは女の子だけど)とヒーローっていう定番。友人、とか恋人とか、そういうのじゃなく、NAOTOさんと栞ちゃん(と、おじさん)というわざわざ名前付けできないようなそれだけの唯一無二の関係だったと思う。
その名前にも言葉にもならない気持ちがあの雨の中でのアクションにあふれてて、もう、ね。

あーもう好きじゃん、みたいな気持ちでいっぱいだった。
いやもう、好きだよ。
どれだけしんどくても見切ってよかったよ。彼らが戦って迷って悩んで笑ってする姿を見通せて幸せだよ。


あと、直己さんとのラストシーンもすごく、嬉しかった(この救済残しててくれて本当にありがとうございますの気持ち)
片岡直人さんとして、と言ったけど
メンバーにとってだってそうで。
別にマスクをしてるしてないじゃなくて、彼はヒーローなんだなあというか。
JSBって場所にいるNAOTOさんも唯一無二なんだよなあ。
うまくいえないんですが。
なんか、ともかく、最終回が物凄くよかったです。
本当に、格好いい人だなあと思った。
しかもそれが血の通った格好良さというか、迷ったり悩んだりするからこそ、格好いいって種類の格好良さなんだなあ、としみじみ噛み締めたのでした。