えす、えぬ、てぃ

お芝居の感想など

人生の大事な部分はガムテで止まっている 現代編

現代編だけしか見れないのが悔しい!

長いタイトルの、気持ちのいいドタバタコメディを観てきました。
松本さんの作品ならではの気持ちのいい台詞回し。観てスッキリのお話。

あらすじはこちら
古びた洋館に再現ドラマの撮影でやってきた撮影クルー。まもなく解体する物件と聞き、好き勝手に改造を始める。そこに現れたのはこの建物の資産を受け継ぎ、管理人となっていた若夫婦。その若夫婦はこの建物を存続すると言い始め撮影現場は紛糾。そんな中、主人公である助監督は、この建物を建造したであろう若夫婦の曽祖父の遺言を発見する。そこには「ガムテープを忘れるな」と書かれていた。そして助監督は大事な撮影備品であるガムテープを忘れていた…。


90分のランタイムに対して、作中の時間もリアルに90分進んでいく。
一昨年(もう一昨年!)上演されたミキシング・レディオと同じタイプ。
もー、ともかくテンポも台詞回しも展開も気持ちがいい。リアルに作り込まれたセットと、自然な役者さんの佇まいが、より90分の進行を楽しませてくれる。
ほんとに、楽しい90分。
ともかく聞いててまず楽しい。
で、あの楽しさって覚えがあるなあって考えてたんだけど、
気心の知れた友人とただただ話してる時に似てる。
その人たちにしか生み出せないテンポで、聞いてるだけで幸せなやつ。

それはたぶん、出演者さんたちの息ぴったりなお芝居があればこそというか。
夢麻呂さんがブログに書いていた「全員がいて成立する、あのシーンがよかった、ではダメ」の言葉に深く深く納得。

そんでもって、その上で「劇」的な登場人物たちばかりなのが楽しい。
撮影クルーたち。出演者。そしてそれに協力したり邪魔したりする色んな人たち。
90分の割に人数も多いんだけど、そのひとりひとりがしっかり印象に残ってる、し、どの人も見終わった後、愛おしいと思った。さすが!
そして、「劇」的なやりとり。
千尋と茜の笑いを誘う会話はもちろん、時にハッとさせられる会話をはじめ、ぐっと笑いから緊迫感のある空気への切り替え!痺れるー!!!
そして、台詞が、やっぱり共感できる。
千尋の「たかが再現V」と言わせない仕事への誇りというか、半ば意地、みたいなのって、覚えがあるもので。
胸はって誰から見ても褒められる仕事ばかりじゃないけど、そこで意地はって拗ねず腐らず、自分にとっての精一杯と、仕事の最善を探し続けながら仕事する、って、やっぱりある。
し、それを清々しく肯定しつつ迎えるあのラストシーンは、本当に好き。

あと、瞬さん演じる夢田さんが、ガムテで次々と止めていくシーンもすごく良かった。
すごくあっさりなんでもないように止めていくのが本当にいい。
だってそれにめちゃくちゃ翻弄されたのに!みたいな。
そんなあっさり!みたいな。
でも、すごく、希望に溢れたワンシーンというか、思わず笑っちゃうような、でもなんか元気になるような最高のシーンだった。

松本さん作品の、なんとなく当たり前の、でも特別で刺激的な時間の切り取り方と、
それってなんかいいよね、みたいなストーリーがたまらなく好きだし、
それを最高の形で具現化できることが劇団6番シードさんが好きな理由かもなあ、と改めて感じた人生の大事な部分はガムテで止まっている、現代編でした。