えす、えぬ、てぃ

お芝居の感想など

バックトゥザ舞台袖

お芝居を好きでいて良かったな、と思った。それがまず、このお芝居への一番の気持ちだと思う。
コメディ、なのに色々と台詞がビシビシきて、もう泣いたり笑ったり忙しかった!

ので!
あえて!
役者さんひとりひとりについて書いてみたい。もう上演されてからだいぶ経つし!あえてブログで!

まずは、2049年組
鈴木べべさん役の中野裕理さん。
安心感がすごい。し、なにゆえにー!があんなに面白いのは裕理さんだからこそ。久しぶりにシャオロン姿が見れるのも嬉しい。
べべさんは基本的にずっと面白いんだけど、稽古シーンや2020年で舞台に立つ瞬間、確かに格好いい。それがまたたまらない。全体的に面白いべべさんの人柄を感じる。面白いのも、格好いいのも、べべさん。
アンダーキャスト、妹の千秋役、鈴木聖奈さん。
なんせ初めて観たのがRe:callなので、かなりギャップが!
ズレてるパワーはやっぱりいいなあとにこにこ。真っ直ぐさもやっぱり好き。
お兄ちゃんと私は、安らかに観てたよ、のあの可愛い言い方がなんともツボです。
あと、その中でも、千秋なりの役者、への思いはグッときた。
べべさんも千秋もギャグパートを担ってはいるんだけど、この作品を通して描かれるお芝居への姿勢は一貫してて、とても素敵。
演出助手晴さん役の水崎綾さん。
作品ごとに受ける印象が変わって、それが凄いなあと思う。作品に溶け込む空気感。ナチュラルさー!
ドタバタと進んで行く中での向谷さんや新子安(息子)さんのストーリーの根っこを握って走り過ぎないようにしてたような印象だった。
演出部由喜恵さん役、大友歩さん。
なんだか私的に珍しいタイプの大友さんを見たような気持ち( ´ ▽ ` )
2020年のスタッフ陣とはまた少し違ったタイプの職人肌。
周りとわいわい話すわけではなく我が道を行くような印象を受けるけど、作品や座組への愛をきちんと感じさせるのは大友さんならではだなあ。通訳シーンのテンポの良さ好き。
2049年THRee'Sのヒロイン、井上さん役の木本夕貴さん。
きーぼーさんの、語りかける演技の、たまらなさ!
もうこれ、レプリカの時も言ったけど、ほんとに、きーぼーさんの語りかける演技が好きで好きで。
優しくて力強い。力押しとかではなく、目線を合わせるような台詞だからこそなおのこと沁みるんだろうなあ。
劉備役の新子安隆元を演じる竹石悟朗さん。
基本的にはやっぱりギャグパートを担っていた気がするけど、あの、お芝居で認めてもらうシーンは痺れた!
「演じて」すっと空気感を変えるのをああいう形で見ることができるのもファンとしてはなんだかお得感がある。
ドタバタしてても耳が痛くならずに楽しく見れるのも嬉しい。のと、個人的に明るい役をしてる竹石さんを久しぶりに拝見したので、とても楽しかった。

向谷さんは最後に書くとして、続いて2020年!

衣装のマキティーこと鴨井さん役、齋藤未来さん。
タイムスリップについての解説を気持ちのいいテンポとテンションで入れてくれる。見てて安心感。
キャラの濃ゆさも一発でマキティー!!!と思わせてくれてとても好きです。
頼れる舞台監督土子さん役、平山空さん。
もーーー好き。ほんとに好き。ビジュアルから大好きでしたがもう、台詞ひとつひとつがもう。
私たちスタッフにとってはそんな軽いもんじゃありません、とか、公演中止で、の台詞とか。
力強さもあって、かつ、真摯。こんな人と一緒に何かを作りたいと思った。し、この人が座組にいる舞台を観たいと思った。
大道具新子安(父)役のCR岡本物語さん。
ずるい。CRさんはずるい。面白さと格好良さを同時にぶつけてくる。本当にずるい。
職人!な言動に笑わされて、泣かされた。
ラスト、劉備として立つ舞台のシーンでは、あれを聞いた向谷さんがそう台詞を変えるのも納得の真摯な演技。
あと、個人的には冒頭の泣きたいのはこっちだ!の言い方がとても好きです。ああ本当にそうなんだろうな、みたいな。でもちゃんとこの人仕事を全うするんだろうな、と思う。あの台詞もギャグっぽいのに、その人の格好良さも詰まってて、凄い台詞だなあと思う。
プロデューサーの木嶋さん役、福地慎太郎さん。
頼り甲斐のなさがすごい!そらこの座組もしっちゃかめっちゃかなっちゃうわ!と思わされる。んだけど、それでも役者さんやスタッフさんが初日を迎えるまでついてきたのは、APの功績やそもそも仕事だからってのもあるんだけど、木嶋さんの愛情が伝わったからかなあと思ったり。ともかく、キャスティングについて話すシーンが大好きでした。
APの田岡さん役、松木わかはさん。
見事な嫌な役その1!
なんだけど、彼女も彼女なりの「仕事の成功」の価値観があるんだろうな、と思わせてくれるのがこのお芝居の嫌味のなさだと思う。徹底した悪役も好きだけど、特に今回はお芝居が関わるから、徹底した悪役ではなくて、彼女には彼女なりの正義が、っていう描き方でちょっとホッとした。
木嶋さんに怒るシーンでは、彼女が稽古期間、どれくらい走り回ってたのかを思わされた。嫌な台詞も、真摯な台詞も、芯がしっかりある、ある意味とても魅力的な役でした。
井上のマネージャー坂本さんを演じた立原ありささんは、井上や仕事への気持ちが覗いた時、ホッとした。
出番的にもそんなに多いわけではないんだけど、それでもワンシーンワンシーン、彼女が出てくるとテンポが変わる。
少ない出番の中でも違和感を覚えさせず、シーンを繋いでいたと思う。

舞台袖、の話なので色んな人が顔を覗かせる。
メインは当然、向谷さんたちがいかにして、二つの舞台の幕を、物語の本当の終幕で降ろすか、という話だ。
舞台を最後まで走らせる。
だから、そのためのシーンの繋ぎや説得や工夫のため、彼らは舞台袖を過ごす。
だけど当然それだけで成立するわけじゃなくて、実際の2020年の舞台に立つひと、2049年の舞台に立つひと。
それは実際「バックトゥザ・舞台袖」では演じられることはほとんどない。だけど、例えばマネージャーの坂本さんが出た瞬間に、舞台上で演じられることのない物語を見た気がする。

バク袖の舞台上では演じられないが、必死に演じ続けたのは2020年の面々だ。
図師さん役の図師さんは、最早反則技だと思う笑
ファンサービス的というか、図師さんそういうの得意じゃないですかぁ、に彼の舞台を見たことがある人は笑っちゃっただろうな、と。そんな中、APについての台詞にハッとさせられたり。図師さんが、図師さん役で出てるから尚更あの台詞が怖かったのは私だけだろうか。

反則といえば、本当の劉備が出てきた時は笑った。黒坂カズシさんがえんじてた。

タイムスリップコメディらしいといえばらしいけど!

あの短いシーンで、大暴れだった。し、活躍するのか!と思いきや、あっさり負けてしまうのがなんというからしいというか。中国語が凄かった。
中井貴一役の眞田規史さんは某大物俳優さんへのオマージュの役、ということかな。
作中でも、大物俳優さん。多くの役者が私情を挟む中淡々と自分の仕事をこなしつつ、適度な距離で座組を見守ってるのが印象的。そして、所謂大物俳優、さんでも「ここからは戦争なので」と静かに言う姿はとても格好良かった。あの横顔、もっと近くで見たかったなあ。
ジェンさん役の上田雄太郎さんはお芝居が明るくて楽しくて、この人を処刑人にキャスティングした木嶋さん素敵、とにこにこした。木嶋さんのキャスティングすごく好き。
この人がいたら、たぶん、座組明るくて楽しいだろうなあ。少し鬱陶しいところもあるかもだけど。そう思うと、わりと明るい人多いし、なんだかんだ稽古中は賑やかだったのかな。
加答児さん役の山岡竜弘さんはまさしく張飛!と思った。三国志というより、THRee'Sの印象で、だけど。三男だけど、兄たちを慕ってるところとか。役者さん的にも若手の設定だったのかなあ、振る舞い的に。
桃園の誓いのシーン、名前を呼ぶ言い方がとても好きでした。
そして、関羽を演じる牛込さん役の竹内さん。
全体的にやっぱりコメディなんだけど、時折覗かせる真剣さに痺れた。そして、「役者じゃなかったんだろ」の台詞にぞわっとした。
怒りを顕にするわけでもなく、詰るわけでもなく淡々と言ってるように聞こえてそれがなおのこと、彼の中で相手がいなくなったように思わされて。
竹石さんとの掛け合いが全体的に楽しくて好きです。
紺野さん役の安達優菜さんは、静かながら舞台への思い入れをストレートに届けてくれるとても素敵なお芝居だった。
お芝居に取り組む姿勢、にたぶん正解はなくて、だから、彼女の私は稽古で作ってきたものを舞台に乗せることを誇りに思ってます、という台詞がたまらなく良かった。ただ幕を開ければいいってわけじゃないもんな。
その上で、意固地になるんじゃなくて、認めたら舞台へと向かうその表情もとても素敵だった。
董卓を演じた春原さん。
春原さんー!!!!もう、春原さんが演じる董卓普通に見たい。あのシーンやこのシーンの董卓が見たい。そう思わされた舞台袖での入り方だった。普段のラジオやテレビでの春原さんを思わせる日和さんの素の部分もとても可愛い。だけど、きちんと舞台へ役として向かうのはやっぱり彼女にも、役者としての誇りがあるからだろう。
2020年のヒロインを演じた町田さん役の久保亜沙香さんは、繊細な女性だった。
ここから出てけ!と言われてそのまま出てっちゃったりするところとか、おいおい、と思うんだけど、でも、ほんと、あーヒロイン!って思った。悪い人じゃないんだろうなあ。繊細すぎるんだよなあ。周りに諭された後の彼女はとても素敵だったので、2020年の2日目以降は、見事に立ち続けてくれると思う。
2020年の憎まれ役といえば、もう1人、さらら役の七海とろろさん。
今まで見てきたのが基本的に可愛らしい役だったので、驚いた。あまりに嫌なやつで!
あのぺたり、とくっつくような嫌味な言い方とか!いるー!こういう女子いるー!!
ただ、その上で、舞台から逃げた彼女がタイムスリップして戻ってくるのはとても優しい展開だったと思う。し、あまりにその表情が綺麗で、彼女が歩いてきた29年を思った。あの展開、好きだなあ。

向谷さんと同じくらい好きなのが演劇雑誌記者の御子柴さんだ。石部雄一さんが演じていた。
石部さんはオーラを自在に作れると思う。見るたびに纏ってるものが違う。ビックリする。
観客に一番近い役の御子柴さん。でも、面白いですよ。の台詞に何度涙腺が緩んだことか!
作り手の色んな事情って、観客はだいたい知らないし、知らなくていいことだと思う。どんな想いで作っていても、好きだ面白い、と思うんだと思う。
でも、御子柴さんの言う通り、それがあんな舞台袖だと知ったら、たぶん、かなしい。
寄り添うような台詞が心地よかった。

そして、向谷さん!
もう!加藤凛太郎さんの魅力爆発だ。熱量のある芝居、テンポのいい台詞。
もうともかく、熱い人だ。
好きな台詞はたくさんある。
たくさんあるんだけど、それ以上にモニターを見つめる目線や、ふとした瞬間の目線が印象的だった。
舞台を、真摯に愛して最後まで諦めない。
最高の演出家さんだった。

 

夢みたいな舞台だと思った。ずっと楽しくて、飽きがこない。
たくさん笑って、泣ける。
そして何より、自分の好きな演劇はこんな風に愛されて生まれてくるんだ、と思えた。
バク袖は、上演当時、作中の台詞のように話題を呼び、たくさんの人が観に行っていた。なんだか、それ含めて、とても幸せな舞台だと思う。