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えす、えぬ、てぃ

お芝居の感想など

3月のライオン

映画3月のライオンを、観てきた!
観てきたよ!


映画化実写の時、ドキドキしない漫画好きは恐らく少ないと思う。
どうしても作品のイメージはあるし。
二次元→三次元の時点で、かなり印象は変わるし。

3月のライオンも、まあ、勿論ドキドキしてたんだけど。試写会で観た色んな人が面白かった!と感想をたくさん見かけたので、ワクワクとドキドキ半分ずつで観に行った。
ん、だけど!

面白かった!!!!!!!!!!!

前提、漫画を実写で、と思うと少しイメージが違うのかもしれない。
例えば、3月のライオンの大きな魅力である美味しそうなご飯や、羽海野チカさんの魅力の独特の効果音、ギャグなどはちょっと少なめ。
もしかしたら、ここが気になる、という人はいるのかもしれない。
んだけど!
んだけど!!

3月のライオンは、色んな要素がある。
よく、一言でどんな漫画か、を説明できないなんて評論とか感想を見かけるんだけど。
将棋漫画であり、家族の物語であり、友情を知る物語であり、もう、かなり、かなり、要素がもりもりなわけで。

その中で、将棋、に焦点を絞った映画なのです。
そして、将棋、というか、もっと言うなら、闘いの話なんです。

これがもう、すごい。
前後編に分けてはいるんだけど、そもそも完結していない作品の実写化なので、
エピソードの取捨選択が求められるのは仕方ないわけで。
その中で、すごく、厚く勝負、を切り取ってる。

切り取り方がともかく凄い。
し、ゴリゴリ削って繋いでをしてるのに、私にはその削られたエピソードやモノローグを映画の中に観た気がした。


それはたぶん、練りに練られた脚本や原作を読み込んだ監督の視線や、そしてそれに応えたキャストさんの熱演ありきなわけで。もう、すごい、愛。

で、凄いのが、将棋を選んだ選ばれた人たちの描写なのです。
今回映画でスポットを当てられたのは主人公の桐山零くん、そして、幸田さんの家族である。
将棋をし続けなければそして強くならなければ生きていけなかった、というそのジリジリした苦しみとか。
それが好き嫌いに関わらず、だったこととか。
そうして、自分がバラバラになっても歩き続けなきゃいけないこととか。

もう、この、一見将棋の話なだけに思えるそれは、でも普遍的な話で。
だからこそ、役者さんの苦しそうな表情や台詞が刺さる。

ここが、3月のライオンの最大の魅力なんじゃないか。

ただの天才棋士の話ではなく、
実際はただのどこにでもいる、人付き合いが苦手な17歳の少年の話で。
もがきながら何かを成そうとする人たちの話だ。
何かを克服しようとしたり、負けたり逃げたり、勝ち取ったり。
その、エピソードひとつひとつに共感したり励まされたりするからこそ、この人気なんじゃないだろうか。

漫画で読んだ時から大好きだった台詞がある。
桐山零のライバル、二階堂が、桐山零くんについて話すシーン。
「強くなればなるほど、弱いやつが怠けた卑怯者に思えて」
その、言葉のストレートさ。
それを生身の人が言うことに、そしてその台詞を引き立たせるエピソードの再構築の構成に震えた。
ラスト、タイトルが出て、涙が出た。


原作が好きな人にこそ、私はこの映画を観て欲しい。
解釈や好きな理由は人それぞれなので、良し悪しの感じ方は人によると思う。
だけど少なくとも、この映画は、しっかり愛されて、大切にされて生まれた映画だ。
そして今はひたすら、後編を楽しみにしていたい。