えす、えぬ、てぃ

お芝居の感想など

ヴルルの島

映像配信のパダラマ・ジュグラマで生で観たい!と思ったおぼんろさんの!舞台に!
行けたよーー!

そんなわけで、行ってきましたヴルルの島。
会場について、その人の多さにびっくり。そしてその人たちみんながうきうきそわそわしてて、その幸せ空間っぷりにびっくり。
開場は押してしまっていたけど、なんだか特別で幸せな空間でした。

まずはあらすじ。公式サイトさんより。
                       
「暗闇の風から現れた醜い怪物め。俺をその手で捻り潰そうと言うのか?」

昔々か、もしくは遠い未来か、いま現在のどこかの物語り。
物心ついた時から独りぼっちだった孤独な盗人はある日、追っ手に追われて命からがら港に泊まった船に乗り込んだ。
積み荷ごと船を奪って逃げようとした盗人だったが、それは世界中のゴミが捨てれれる島に向かう船だった。
広すぎるほど広い海を渡りようやく辿り着いたのは、見渡すゴミの山が広がるヴルルの島だった。そこで盗人は、誰かに何かを贈りたいと願う怪物に出会った。島の星たちに見降ろされ、傷ついた者たちの奇妙な生活が始まる。
そして、島にまつわる悲しく残酷な過去が明らかになり始める・・・。

 

 

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物語の始まりが本当にまず素敵。
語り部さんが各キャラクターへと変わる線がすごく曖昧なんだけど、それがまた愛おしい。
ゆっくりゆっくり、物語のなかに入っていく。

ホシガリ、と名乗る青年になった末原さんはさっきまでにこにこと可愛らしい顔をしてたのにすっかり冷たい疲れた、ギラギラした目に変わっていた。

おぼんろさんの物語はジャンルでいえばファンタジーなんだけど、ギャグに勢いもあって、それがいい塩梅で入るので実はファンタジーがあまり得意ではない私も楽しめて好きです。

それぞれ事情がありそうな、ホシガリ、ジャジャ、シオコショウ。
そしてそのそばにいる、少し変わった存在のアゲタガリとトリツキ。
パンフレットにあったもらってあげる人も優しい、という言葉が印象的だ。
誰かにあげたい、と思うこと。誰かを想うこと。

ホシガリとジャジャはふたりとも、ひとりぼっちの人たちだ。
家族を知らない。奪われた人たち。
だれも彼らに愛を与えてはくれなかった。そのふたりが、笑い合うシーンはとても優しい。
優しいからこそ、その後の真実が残酷なのだけど。


その真実がなければ、ふたりは友達になれた。

戦争の記憶がある、シオコショウの叫びや記憶がある意思に取り憑かれたトリツキの言葉は鋭いナイフみたいだ。おそらく、彼らは今もどろどろと血を流している。その先は無関係なはずのホシガリやジャジャや、トリツキだ。

おぼんろさんの話はファンタジーだ。
ファンタジーなんだけど、そこに描かれる世界はどこか、である話だ。
未来で、過去で、あるいは今もどこかで。
戦争のために作られたアゲタガリは挨拶をする。笑い合って手を取り合う人の夢を見る。その人たちと笑い合う自分を夢見る。
アゲタガリの優しさをホシガリは初め拒絶する。
今、ふと思ったのは、ホシガリは受け取る余裕なんてなかったんだな、ということで。
誰も彼に与えてこなかったから、ホシガリはそれを知らないし自分がそもそも何が欲しいかを知らない(或いは知りたくない)
その、ホシガリが最後にアゲタガリから受け取れること。
奪うばかりで何かを得ることを知らなかったホシガリが、アゲタガリに笛を渡すこと。
それを、ファンタジーと私は呼びたくない。

血を流していた彼らが行き着いたのは幸せになってほしい、という結論だった。

嬉しいと鼻歌を歌うこと。
幸せになってくれと祈ること。
それが、当たり前のことだといいなあ、と思う。